「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
企業歯科検診は、従業員の口腔健康を維持し、生産性向上を図るために注目されている健康管理の一環です。近年、義務化の可能性も取り沙汰されており、企業側の関心が高まっています。
この記事では、企業歯科検診の概要や検診で行う内容、費用について詳しく解説します。導入するメリットや今後の動向についても解説しますので、企業歯科検診の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
企業歯科検診とは、企業が従業員に対して定期的に実施する歯科検診のことです。従業員の口腔健康を維持し、将来的な歯科疾患のリスクを低減することを目的としています。
企業が歯科検診を提供することで、従業員は自分の歯や口腔内の健康状態を把握しやすくなり、早期に問題を発見して治療を受けることができます。企業歯科検診は、従業員の健康意識を高めるだけでなく、結果的に企業の生産性向上につながる可能性もあります。
お口の健康状態が悪化すると、痛みや不快感から集中力が低下し、業務パフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。さらに、歯科疾患が重症化すると、長期的に休職が必要となることもあるでしょう。
企業が定期的に歯科検診を導入することで、従業員の口腔健康をサポートし、病気の予防につながります。従業員は心身ともに健康を保ちやすくなり、企業全体としても活気ある職場環境を維持できるでしょう。
また、企業歯科検診を福利厚生制度の一環として導入することで、従業員の満足度や定着率の向上にもつながります。従業員が安心して働ける環境を提供することは、企業のイメージ向上にもつながり、優秀な人材の確保にも役立つ要素となるでしょう。
現段階において、企業歯科検診は法律で義務化されているわけではありません。現行の法律では、企業が従業員に対して提供すべき健康診断の範囲に歯科検診は含まれておらず、実施するかどうかは各企業の判断に委ねられています。
しかし、今後、企業歯科検診の義務化に向けた動きが進む可能性があります。歯科疾患が全身の健康に与える影響が広く認識されるようになり、歯の健康が生産性や労働者の生活の質に直結することが明らかになってきました。
特に歯周病は、心臓病や糖尿病など、重大な全身疾患と関連があるとされ、これを予防することは従業員の健康を守るだけでなく、企業にとっても生産性の維持・向上に資するものと考えられています。
こうした背景から、歯科検診を企業に義務づけるべきだという意見が増えています。また、すでに自主的に歯科検診を導入している企業も増えており、これが全体的なトレンドとして広がりを見せています。
仮に企業歯科検診が義務化されることになれば、企業は従業員の健康維持に対して、より一層の責任を負うことになります。従業員が健康で働きやすい環境を提供することが期待されますが、同時に企業側はコスト面での負担増加も考慮しなければなりません。
現時点では義務化は決定していないものの、いざ義務化された際にもスムーズに対応できるような準備を進めることが重要となってくるかもしれません。
以下に、企業歯科検診で行われる具体的な内容についてご紹介します。
企業歯科検診では、歯科医師が視診と触診を通じて、虫歯や歯周病の有無、口腔内の清掃状態を確認します。また、歯茎の状態や歯肉の炎症の程度も確認します。これにより、従業員の口腔内の健康状態を総合的に把握することができます。
歯周ポケットの深さを測定することで、歯周病の進行度を確認することも重要です。歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の進行度を確認することで、適切な対応を行うための情報が得られます。
歯周病は進行すると全身の健康にも影響を与えるため、早期の対応が非常に重要です。
必要に応じて、レントゲン撮影を実施することもあります。目視では確認できない歯や骨の状態を詳細に把握でき、隠れた問題を早期に発見する助けとなります。レントゲン技術は近年進化しており、低放射線量で高精度の画像を提供することが可能です。
企業歯科検診では、口腔ケアのアドバイスを行うこともあります。検診結果をもとに、従業員一人ひとりに適した歯磨き方法やフロスの使い方、食生活の改善提案など、日常生活での虫歯・歯周病の予防策が指導されます。
これにより、従業員は自分の口腔健康を維持するための具体的な方法を学ぶことができ、長期的な健康管理に役立てることができます。
企業歯科検診には、従業員と企業双方にとって多くのメリットがあります。
従業員は企業歯科検診を受けることで、定期的に口腔内の健康状態をチェックすることができます。そのため、虫歯や歯周病などの問題を早期に発見でき、適切な治療を受けることが可能になるのです。
お口の健康状態の悪化を防ぐことで、従業員は長期的に快適な生活を維持できるため、生活の質を高める効果が期待できます。また、歯科医師からのアドバイスを受けることで、日常的なケアの意識が高まり、自己管理能力の向上にもつながります。
企業が歯科検診を導入することには、従業員の健康を維持し、業務に集中できる環境を整える効果があります。口腔の健康問題はしばしば痛みや不快感を伴い、業務のパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。
定期的に歯科検診を実施することで、従業員のお口の健康を保ちやすくなり、その結果、生産性の向上が期待できます。そのため、歯科検診は企業にとっても有益なのです。
また、企業歯科検診は、福利厚生の一環として、従業員の満足度を高めるうえで重要な要素となります。従業員は、自身の健康を企業がサポートしてくれていると感じることで、企業への信頼感が高まるでしょう。
これにより、従業員の仕事への意欲が向上し、結果的に離職率の低下につながる可能性もあります。企業が従業員の健康を重視する姿勢を示すことで、職場環境の向上にも寄与します。
企業が実施する歯科検診の費用は、従業員一人あたり平均で3,000円〜5,000円程度とされています。この費用には、検診に必要な基本的なチェック項目が含まれていますが、追加の検診が必要な場合には、さらに費用がかかることもあります。
企業にとって、全従業員に対する歯科検診を実施することは、一定のコスト負担を伴いますが、これは長期的な視点から見れば健康経営の一環として非常に有効な投資といえるでしょう。
また、企業歯科検診にかかる費用は、福利厚生費として計上することが可能です。
今回は、企業歯科検診で行う内容や企業に導入するメリット、費用などについて詳しく解説しました。
企業歯科検診は、従業員の口腔健康を維持し、全体的な生産性向上を図るための重要な取り組みです。検診内容には、虫歯や歯周病のチェック、歯茎の状態の評価、口腔ケアのアドバイスが含まれ、従業員のお口の健康を保つためのサポートが行われます。
費用は従業員一人あたり3,000円〜5,000円程度であり、福利厚生費として計上可能です。また、企業歯科検診を実施することにより、従業員のモチベーション向上や離職率の低下が期待できるでしょう。
将来的に義務化の動きもあり、企業としては早期に導入を検討する価値があります。
企業歯科検診を検討されている方は、千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療などの一般歯科だけでなく、ホワイトニングやセラミック治療、矯正治療などの自由診療にも力を入れています。診療案内ページはこちら、無料相談・ご予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。
企業歯科検診の実施は、従業員様の健康を守り、業務のパフォーマンスをあげるだけでなく、身だしなみについて意識を啓発し、企業イメージの向上にも貢献します。全従業員様を検診の対象とすることで、福利厚生費として扱われ、費用は全額損金として計上できます。
歯科検診の導入により従業員の方々の口腔ケアが向上し、お口の中のの健康状態が改善する調査結果が発表されています。また口腔健康状態の変化が全身健康の変化と関連することも推察されます。
こちらの調査結果は、歯みがき剤などで知られるライオン株式会社が、年間1万人以上の従業員に対して人間ドックを実施している日立健康管理センタと協同で、職域において口腔と全身健康状態とが関連しているか研究してきた報告です。
歯科検診導入後4年間で、従業員のオーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率)の実施頻度が増加しています。
この調査では、歯ぐきの健康状態(唾液中の白血球値)と、全身健康の指標となるCRP、HbA1cの関連性を解析しています。
CRPは炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するタンパク質のことです。HbA1cは糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかをパーセント(%)で表したもので、血糖コントロールの程度を判断するのに重要な数値です。
歯ぐきの健康状態が悪い(白血球値が高め)群では、全身の炎症状態を示すCRP値、及び検査前1~2ヶ月間の血糖値を反映するHbA1c値が高かったそうです。
一方、2回目の受診時に唾液中の白血球値が改善されている場合、CRP、HbA1cの数値の悪化がくいとめられていました。
つまり、口腔健康状態の変化は全身健康の変化と関連していると考えられるのです。
出典:
日本総合検診医学会 2023年1月 第51回大会
「歯科検診導入による口腔環境と全身健康の関連について」
株式会社日立製作所日立健康管理センタ/ライオン株式会社/大阪大学大学院歯学研究科による発表