木更津きらら歯科の歯科ブログ

「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。

23年10月12日

インプラントができない人・向かない人とは?対応法も解説!

こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。

NGのサインを作る若い女性

インプラントができない人・向かない人とは、未成年や喫煙者、持病がある方などです。また、骨量が不足している方も、事前に骨造成などの治療を行わない限り、治療の実現が難しい場合があります。

今回は、インプラントができない人・向かない人について、対応法も合わせて解説します。

インプラントとは?

歯を指差す女性

インプラントとは、失った歯の代わりとして顎の骨に埋め込む人工歯根のことを指します。

インプラントは大きく3つのパーツから成り立っています。顎骨に埋め込む部分の「インプラント体」とインプラント体の上に取り付けられる土台部分の「アバットメント」、歯そのものに相当する「上部構造」です。

インプラント体はチタンやチタン合金で作られ、アバットメントにはチタンやジルコニアなどの材料が使用されます。上部構造には、レジンやセラミック、ハイブリッドセラミック、金合金などが使用されることが多いでしょう。

インプラントができない人・向かない人とは?

バツを作る女性

インプラントができない人・向かない人は、未成年や喫煙者、持病がある方などさまざまです。以下、インプラントができない人・向かない人について、原因も合わせて解説します。

骨量が不足している

インプラントの成功は「歯槽骨の質」に大きく左右されます。強固でしっかりとした歯槽骨がなければ、人工歯根の固定が難しくなるからです。脆い歯槽骨に人工歯根を埋め込むと、時間が経つとインプラントが抜けるリスクや、折れるリスクが高まるでしょう。

喫煙している

インプラント治療の成功の鍵は、人工歯根と顎の骨の強固な結合であり、この結合をサポートするためには「健全な血流」が不可欠です。

しかし、タバコの一酸化炭素は血流を阻害し、ニコチンは血管を収縮させる作用があるため、喫煙者はこの結合が難しくなるリスクが高まります。さらに、喫煙者は歯周病のリスクが高いとされています。これはインプラント治療後の安定性にも影響を及ぼすため、喫煙とインプラント治療の間には相性の悪さが指摘されているのです。

虫歯や歯周病がある

インプラント治療を検討する際「口内の健康状態」が非常に重要です。特に、虫歯や重度の歯周病が存在する場合、治療の成功率が低くなります。これは、虫歯や歯周病が口腔内感染の原因となり、インプラント手術時に顎の骨と人工歯根が適切に結合しづらくなるためです。

さらに、重度の歯周病を抱えたままインプラント治療を進行させると、歯周病菌の影響で「インプラント周囲炎」という病気を引き起こすリスクが高まります。

未成年である

インプラント治療は顎の骨に直接穴を開け、人工の歯を固定する治療方法です。

しかし、顎の骨が成長段階にある時期にインプラント治療を受けると、骨の成長によりインプラントの位置がずれる恐れや、インプラントの固定が不安定になる恐れがあります。人が成長する際、骨の成長速度やパターンには個人差があり、これを正確に予測することは歯科医師にとっても非常に困難です。

このような理由から、18歳以下または20歳未満の方に対してインプラント治療を控えるクリニックが多いのです。

糖尿病がある

糖尿病がある方は免疫力や体の抵抗力が低下する傾向があり、インプラント手術後の傷口の治癒が遅れるリスクが高まります。さらに、糖尿病がある方は歯周病を発症する可能性が高いため、インプラント治療を行うと「インプラント周囲炎」のリスクも高まるのです。

腎臓の病気がある

インプラント治療は外科的な手術を伴い、傷や出血が発生します。腎臓の病気がある方は、その体質から免疫力が低下しやすく、手術後の傷の回復も通常より遅れることが一般的です。そのため、腎臓の病気がある方にはインプラント治療は基本的に推奨されません。

特に、重度の腎疾患で人工透析を受けている方に対しては、インプラント治療を断っている歯科医院が多いでしょう。手術中に細菌が体内に侵入すると腎臓に移動するリスクがあり、腎臓の病気をもつ方は様は骨が脆くなりがちで、インプラントの固定が難しくなることも多いためです。

妊娠している

インプラントの治療過程では手術や投薬、レントゲン撮影などが行われます。そのため、母子の安全を最優先に考えると、妊娠中の治療は控えたほうがよいといえます。

また、妊娠期間中は、体調の変化やホルモンの影響で精神的に不安定になることもあります。インプラント治療によるストレスや不安が、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性についても考慮しなければなりません。

麻酔を使用できない・避けたい

インプラント治療は手術を伴うため、麻酔の使用が不可欠です。 麻酔に対してアレルギーがある方や体質的な問題で使用できない方、注射の痛みなどの理由で麻酔を避けたい方は、インプラント治療は難しいといえるでしょう。

治療後の定期的な通院ができない

インプラントを長期的に使用するためには、治療後のメンテナンスが非常に重要です。 メンテナンスでは、インプラントの噛み合わせの状態や、周囲の組織に炎症が起きていないかなどを検査します。また、同時にクリーニングも行い、口腔内の健康を維持します。

インプラント周囲炎は早期発見が難しく、気付いたときには症状が進んでしまっていることが多いです。治療後の通院も含めて、インプラント治療の一部と考えるようにしましょう。

インプラントができない人・向かない人はどうしたらいい?

疑問を持つ女性

インプラントができない人・向かない人についてご紹介しましたが、それぞれ対処法が存在します。場合によっては、治療が受けられることもあるので参考にしてください。

骨造成・再生治療を行う

骨粗鬆症を治療している方にとって、骨密度を増やすためには時間と根気が必要です。

しかし、インプラント治療を希望する場合、骨再生治療を先に行うことで治療の道が開けることもあります。

骨再生治療には「GBR(骨組織誘導再生法)」という、特別な素材を使用して骨を再生させる方法や「ソケットリフト法」「サイナスリフト法」といった人工素材で骨の厚みを増やす方法など、さまざまなアプローチが存在します。歯槽骨の状態や患者様の具体的なニーズに応じて、適切な治療法を選択することが可能です。

骨の量や質に不安がある方は、骨再生治療を提供するクリニックを選ぶことでインプラント治療が現実的になるかもしれません。

禁煙する

喫煙者に対して、インプラント治療自体は可能です。

しかし、治療の成果や長期的な安全性を考えると、喫煙は大きなリスクになります。喫煙は、インプラントの安定性や結合の強さ、さらには長期的な結果に悪影響を及ぼすことが知られています。インプラント治療を真剣に考えるのであれば、一時的な禁煙ではなく、永遠の禁煙を決意することが必要です。

虫歯や歯周病を完治させる

虫歯や歯周病がある方は、インプラント治療前に完治させる必要があります。口腔内の炎症や感染を抑え、インプラントが安定して機能する土台を整えるためです。 重度の歯周病で骨が大量に失われている場合、インプラント治療の前に骨再生治療を検討することが必要です。

顎の成長が完了したことを確認してから治療を受ける

成長途中の骨にインプラントを設置すると、その後の骨の変化によりインプラントの位置や安定性が損なわれる恐れがあります。そのため、顎の成長が完了するまでの期間は、入れ歯やブリッジなどを使用するのが一般的です。 入れ歯は取り外し可能なので、骨の成長に影響を与えることなく、日常生活に支障をきたしません。骨の成長が完了したあとにインプラント治療を検討しましょう。

担当医と連携して血糖コントロールを行う

糖尿病の方がインプラント治療を検討している場合、まず担当医に相談が必要です。糖尿病の状態や血糖値のコントロール状況によっては、インプラント治療のリスクが高まる可能性があります。担当医に安全性を確認しましょう。

血糖値のコントロールが適切に行われており、担当医からインプラント治療に対する問題がないと判断を受けた場合、糖尿病の方でも治療を進めることができます。 ただし、定期検診や血糖値のチェックは欠かさないようにしましょう。

腎臓の病気がある方は、担当医に相談のうえ別の治療法も検討する

腎臓の病気がある方がインプラント治療を検討している場合、疾患の程度や現在の治療状況が大きく影響します。軽度の腎疾患で人工透析を受けていないケースであれば、インプラント治療の適応となる可能性も考えられるでしょう。

しかし、最も重要なのは担当医の意見に従うことです。治療を受ける前に、まずは担当医に相談しましょう。担当医の判断によって、インプラント治療が難しいという結果が出た場合には、その判断を尊重し、ほかの治療方法や選択肢を考慮しましょう。

出産後に体調が安定してから治療を受ける

妊娠中の方が歯を補う治療方法を受ける場合、入れ歯を用いて一時的に対応することが望ましいです。出産後の体調や日常生活が安定した際に、インプラント治療を検討しましょう。

特定の事情で妊娠中にインプラント治療が必要と判断される場合、安定期を過ぎた妊娠5か月頃にインプラント体の埋入手術を行います。産後までの期間を歯とインプラントの結合強化の待機期間とし、産後に人工歯の装着をする方法もあります。

しかし、妊娠中の治療は特別な理由がなければ避け、産後を待つことが賢明です。

歯科医師と相談して最適な麻酔の方法を考える

麻酔に対する不安や疑問がある方は、カウンセリングの際に、使用される麻酔の種類や方法について詳しく確認しておきましょう。インプラント治療では、主に「局所麻酔」と「静脈内鎮静法」という2つの麻酔方法が採用されます。局所麻酔は特定の部位のみを麻酔する方法で、静脈内鎮静法は点滴を用いて麻酔薬を体内に投与し、全身をリラックスさせる方法です。

注射時の痛みや不安を感じる方には、静脈内鎮静法がおすすめです。静脈内鎮静法を選択することで、治療中の不快感や緊張を和らげることができます。

可能な通院頻度を明確にして、歯科医師に相談する

インプラント治療は手術が完了したあとも、その後のメンテナンスが非常に重要です。

治療後の定期検診の頻度は、歯科医院や患者様の状態によって異なることが多いです。インプラント治療を検討する際は、事前に定期検診の頻度や内容について確認しておきましょう。通院の頻度や内容を把握したうえで、ご自身のライフスタイルや健康状態に合わせて通院が実現可能かを判断しましょう。

まとめ


インプラント治療は、失われた歯を人工の歯で補う治療方法として、近年非常に注目されています。

しかし、インプラント治療はすべての方に適しているわけではありません。糖尿病や腎疾患がある方、妊娠中の方など、インプラント治療ができない人・向かない人も存在します。適切なカウンセリングや予備的な治療を行うことで、インプラント治療を受けられる可能性があります。喫煙や骨の健康状態、歯周病の有無など、患者様の状態やライフスタイルに応じて治療のアプローチが異なるため、まずは信頼できる歯科医師を探しましょう。治療の成功のためには、患者様がご自身の健康状態を正しく理解し、治療の過程やリスクを把握することが重要です。

インプラント治療を検討されている方は、千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」にお気軽にご相談ください。


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