「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
今日はお口の健康を守る栄養素とサプリメントについて解説します。
目次
歯が弱くなる原因の一つとして加齢による影響が考えられます。長年働いてきた歯は、摩擦によりエナメル質が薄くなり、組織構造も変化し痛みに鈍くなります。
ではサプリメントで歯を強くすることはできるのでしょうか。歯の強度を高める効果を持つサプリメントはありますが、それはあくまで、栄養補助という役割を担うもの。バランスのよい食生活が保たれていれば、必要な栄養素は摂取できると考えられています。まずは食生活を見直しましょう。
サプリメントは「薬」ではありません。また、過剰に摂取したからといって比例して大きな効果が得られるわけではなく、健康被害の危険性もあるので注意が必要です。服薬中の薬との相互関係も鑑みる必要があるので、医師薬剤師に相談することをおすすめします。
お口の状態によってどんな栄養素が関係あるのか、一部をご紹介します。
では個々の栄養素とサプリメントの効能について見ていきましょう。
歯と骨の健康を支える基本的なミネラルです。カルシウムはエナメル質・象牙質の原料で、初期むし歯を修復する再石灰化にも必要な栄養素です。カルシウムは乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)、小魚、豆腐、ほうれん草、ケールに多く含まれます。
サプリメントは、乳製品をあまり摂取しない方や、骨粗しょう症のリスクがある方におすすめです。しかし、体内のカルシウム濃度が高くなりすぎると腎臓機能を悪化させたり、心筋梗塞の死亡リスクが上昇するという報告もあり、過剰な摂取は禁物です。
カルシウムの吸収を助けるとともに、骨の健康を維持します。不足すると歯の強度が低下し、むし歯リスクが高まることがあります。サケ、サバといった魚類、卵黄、ニンジン、カボチャ、ほうれん草、レバー、きのこ類に多く含まれます。ビタミンDは日光の力を借りて皮膚で作られるので、日光にあたる機会が少ない方や、食事からの摂取が不足しがちな方に推奨されます。
ビタミンAは歯の表面のエナメル質を強化し、歯ぐきや口腔内の粘膜を健康に保つ働きがあります。歯ぐきが健康であれば、歯をしっかり支える力が維持されます。レバーや魚介類に豊富に含まれているため、食事から十分な量を取り入れることができそうです。過剰摂取すると体内に蓄積され、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、手軽なサプリメントとして販売されているものではありません。
ビタミンCは歯ぐきなどのコラーゲン線維を形成する上で必要な栄養素です。歯ぐきの血管を強化し、炎症を抑えます。ビタミンCが不足すると歯ぐきの健やかさが損なわれ、歯周病のリスクが高まるかもしれません。ビタミンCは柑橘類(オレンジ、レモン)、イチゴ、ピーマン、ブロッコリーに多く含まれます。
ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、風邪のひきはじめや免疫機能の低下を予防すること、美肌などさまざまな効果が期待されています。
マグネシウムは健康維持のために必ず必要なミネラルの1つで、カルシウムやリンと共に骨や歯を形成する栄養素です。カルシウムの吸収効率を上げる働きがあり、片方が増えるともう片方が減るという拮抗した関係にあるため、バランスよく摂取することが重要です。マグネシウムとカルシウムのバランスは1:2の比率が理想的。不足すると歯の質や唾液の質が低下します。マグネシウムは野菜類や豆類に多く含まれます。また多くのマルチビタミン・ミネラルサプリメントやそのほかのサプリメントから摂取することができます。
リンは体内のエネルギー代謝にも関わる重要なミネラルです。カルシウムやマグネシウムと共に骨や歯の成分として骨の強化を担っています。歯の硬さと強度を支えます。鶏肉、豚肉といった肉類、サケ、イワシといった魚類、乳製品、ナッツ、全粒穀物に含まれます。リンは通常の食生活で不足することはあまりありません。むしろ摂り過ぎる弊害のほうが問題になっています。
フッ素は歯や骨の健康に必要不可欠な栄養素の一つです。歯の表面のエナメル質を強化し、酸に対して抵抗力の強い歯にしてくれます。お口の中は、飲食するたびに、酸性に傾いたり中性にもどったりするのですが、フッ素は、酸で溶け出した歯の表面を修復する再石灰化を促す働きがあります。むし歯菌の活動を抑える抗菌作用もあります。木更津きらら歯科では、定期検診の際にフッ素塗布をおすすめしています。
緑茶、エビやワカメといった海産物、野菜、果物など、多くの食品に含まれている栄養素ですが、お口の健康を助ける取り入れ方としては、フッ素配合ハミガキ剤や洗口液も効果が期待できます。
少し意識を変えることで、お口の健康にも効果があがります。安易にサプリメントに頼るだけでは弊害がでてくることも。栄養面にも注目して暮らしの中で工夫してみましょう。
毎食に乳製品、魚、野菜を組み合わせると、自然と栄養バランスが整います。
糖分はむし歯の原因菌の餌となります。砂糖が多い飲み物を控えることはできますか? 木更津きらら歯科のおすすめ飲料は「水」です。
間食にはカルシウムを多く含むナッツやチーズ、ビタミンCが豊富なフルーツを取り入れましょう。
毎日の歯磨きでフッ素を取り入れることで、むし歯予防の効果を高めることができます。
お口の健康のためには、日々の口腔ケアに加えて栄養バランスの取れた食事が欠かせません。カルシウムやリン、フッ素などのミネラルと、ビタミンD、A、Cなどのビタミンを意識的に摂取することで、歯を内側から強く健康に保つことができます。正しく効果的に摂取するなら、サプリメントも健康のために効果を発揮してくれます。栄養面から、強い歯について考えてみませんか。