「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
「インプラント後の歯磨きは普段通りでいいの?」と疑問を抱く方は多いでしょう。インプラント後の歯磨きは、基本的には他の歯と同じように行って問題ありませんが、磨き方や道具の選び方には気をつけたいポイントがあります。
この記事では、インプラント後に自宅で歯磨きをする際のポイントを解説します。平均寿命が10〜15年といわれるインプラントを、より長持ちさせるための秘訣も紹介するのでぜひ参考にしてください。
インプラントは人工歯なのでむし歯になることはありません。
しかし、インプラント後に歯磨きを怠ると、インプラント周囲炎を発症する可能性が高いです。インプラント周囲炎とは、インプラントの周りに歯垢や歯石が蓄積し、歯周病によく似た症状を引き起こす病気です。
インプラント周囲炎になると、インプラントの周りの組織で炎症が起こります。インプラントには、天然歯と異なり歯根膜がありません。抵抗力が弱く、細菌に感染すると気付かないうちにどんどん症状が進行するのです。
インプラント周囲炎は初期の段階では目立つ症状は現れませんが、異変に気づいたときには重症化しているケースが多いです。症状が進行すると顎の骨が溶け、最悪の場合インプラントが抜け落ちる可能性もあります。
また、歯磨きを怠ると天然歯のむし歯や歯周病のリスクも高くなります。インプラントを長持ちさせると同時に、健康な歯の寿命を縮めないためにもインプラント後の歯磨きは重要です。
インプラントの歯磨きは、治療段階によってポイントが異なります。ここでは、治療の流れに合わせて歯磨きのポイントを解説します。
インプラント体を顎の骨に埋め込んだ直後は、傷口から出血したり腫れたりする恐れがあります。傷口に負担をかけないよう、うがいや歯磨きは避けてください。
手術後の状態には個人差があります。うがいや歯磨きの開始時期は歯科医師の指示に従い、許可が出てから行いましょう。
インプラントの埋入手術の際は歯茎を縫合し、手術後10日ほどで抜糸します。抜糸をするまでは、歯磨き粉を使用せずにやわらかい歯ブラシで優しく磨きましょう。傷口に刺激を与えると、再度出血して治りが悪くなる恐れがあるため注意が必要です。
抜糸が終わるまでのインプラントを埋め込んだ部分以外の清掃方法は、歯科医院からしっかり指導を受けてください。
インプラントを埋め込んでから人工歯を取り付けるまでは、仮歯で過ごすことが多いです。仮歯の期間は3〜6ヵ月程度です。
仮歯は歯科用プラスチックスで作られています。歯垢や歯石が付着しやすく、細菌が繁殖する可能性が高いため丁寧に磨くよう心がけましょう。
仮歯を入れている間に歯周病やむし歯になると、人工歯を装着するまでの期間が延びる恐れがあります。人工歯を装着するまでにトラブルが起こらないよう、仮歯や天然歯をしっかりとケアすることが大切です。
人工歯を装着した後の歯磨きのポイントは、以下のとおりです。
歯磨きの際は力加減に注意しましょう。具体的には、歯ブラシの毛先が広がらない程度の強さを意識してください。小刻みに動かして1本1本磨くように心がけましょう。
「インプラントは人工歯だから、傷がつかないようあまり磨かないほうがいい」と勘違いされる方もいますが、インプラントも天然歯と同じように磨いて問題ありません。
ただし、研磨剤や顆粒入りの歯磨き粉は、インプラントの表面に傷をつける恐れがあります。できるだけ使用は控えましょう。
インプラントは歯ぐきとの間に汚れが溜まりやすく、溜まった汚れはインプラント周囲炎の原因になります。そのため、インプラントと歯ぐきの間は歯ブラシを45度に傾けて、歯周ポケットの中の汚れも掻き出すように磨きましょう。
インプラント後のセルフケアでは、歯ブラシや歯磨き粉の選び方についても注意すべきポイントがあります。ここでは、歯ブラシや歯磨き粉とともに、フロス・歯間ブラシ・タフトブラシなど補助的清掃用具の活用方法についても解説します。
インプラントの手術直後は歯ぐきに傷口があり、刺激を与えると出血する可能性があります。傷口の治りが悪くなり、インプラントの治療期間が延びることもあるでしょう。
歯ぐきの傷が回復するまでは、やわらかい歯ブラシを使用しましょう。歯ぐきの傷が治った後は、磨きやすい硬さの歯ブラシを使用してください。
また、インプラント後の歯磨きで大切なのは、インプラントと歯ぐきの間の汚れを取ることです。細かい部分をしっかり磨くために、毛先が細い歯ブラシを選ぶとよいでしょう。
歯磨き粉は市販のものを使用して問題ありません。「フッ素入りの歯磨き粉を使って良いか」と質問をいただきますが、日本国内で市販されている歯磨き粉に含まれるフッ素の量なら使用しても問題ありません。
フッ素には、インプラント以外の天然歯を強くしてむし歯から守る効果があります。口腔内の健康を守るために、使用を推奨されることもあります。
基本的には市販の歯磨き粉で問題ありませんが、研磨剤や顆粒が含まれている歯磨き粉には注意が必要です。研磨剤や顆粒はインプラントや天然歯の表面に傷をつける恐れがあるため、避けてください。
インプラント後の歯磨きでは、フロス・歯間ブラシ・タフトブラシなどの補助的清掃用具を使うことも大切です。歯間や歯周ポケットの汚れを取り除くには、歯ブラシだけでは不十分なのです。
隙間が小さいところにはフロス、隙間の大きいところには歯間ブラシを使って歯垢を取り除きましょう。
タフトブラシとは、毛先が一つにまとまった小さな歯ブラシです。通常の歯ブラシでは磨きにくいところに届くため、歯垢を効率よく取り除くことができます。
フロスや歯間ブラシ、タフトブラシの使い方がわからず不安に思う方は、歯科医院で相談してアドバイスをもらうと良いでしょう。
インプラントの寿命はおよそ10〜15年で、入れ歯やブリッジと比べて長く使用することができます。
しかし、日頃のケアを怠ると寿命は短くなります。インプラントを長持ちさせるために、セルフケアとあわせて歯科医院で定期的にメンテナンスを受けましょう。
歯科医院でのメンテナンスは、3ヵ月に1回を目安に受けてください。セルフケアで落とせなかった汚れを除去し、効果的なブラッシング方法のアドバイスを受けることができます。
歯科医院でのメンテナンスでは、クリーニングを行うだけでなく、顎の骨や噛み合わせなども確認してもらえます。また、インプラント周囲炎など口内トラブルの予防や早期発見にもつながります。
通いやすい歯科医院を選ぶことも、インプラントを長持ちさせる秘訣の一つでしょう。
インプラントを長持ちさせるには、生活習慣にも注意が必要です。喫煙はインプラント周囲炎のリスクとなるため控えましょう。糖尿病などの持病がある方は、持病の改善やコントロールも大切です。
バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠をとることで、歯や全身の免疫力を高めるよう心がけましょう。
今回は、インプラント後の歯磨きについて解説しました。インプラントの歯磨きは治療段階によってポイントがあります。
人工歯を装着してインプラント治療が完了した後は、力加減や角度などを意識して磨きましょう。歯ブラシや歯磨き粉は市販のものを使って問題ありませんが、購入する際は形状や成分に注意してみてください。
インプラントを長持ちさせるには、セルフケアと歯科医院でのメンテナンスを継続することが大切です。負担なく通い続けることができる歯科医院を選びましょう。
インプラントを検討されている方は、千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」にお気軽にご相談ください。