「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
セラミック素材の選択には、治療する内容や、歯のある場所によって変わります。奥歯には強度の強い素材がふさわしく、前歯や目立つところなら審美性も求められます。またつめものをする場合と、被せものをする場合でも違ってきます。
むし歯の進み具合により、治療はなるべく患者さまの歯質を残すことを考えます。けずる部分がごく小さい場合、コンポレットレジンというプラスチック素材で対応できます。こちらは保険の適用範囲で治療できます。
もう少し大きくなると、インレーと呼ばれる技工物のつめものが必要になってきます。インレーは前から4番目から7番目の歯に行いますので、強度も必要なため、ジルコニアインレーを推奨しています。10年ほど前には、ジルコニアという素材の加工の精度があまりよくなかったのですが、近年は加工の精度があがり強度面からも自信をもっておすすめできます。
もっと大きいむし歯になると、歯の全体に被せる被せものを作ります。これはクラウンと呼ばれます。
ブリッジも同様に、強度の求められる奥歯はジルコニア、加えて審美性も求められる前歯はジルコニアオールセラミックを推奨いたします。
セラミックの特徴のひとつは、身体への負担の少なさです。金属が継続的にお口の中にあるのは、本当は、少し心配なところもあるんです。金属アレルギーの原因になることもあります。正直申しまして、歯科医は自分の家族の治療に銀歯を使用することには抵抗があります。からだに負担がかかることがわかっているからなんです。セラミック素材はお口の中で化学反応を起こしません。安定して、安全な状態を保つことができます。
そして審美性については言うまでもありません。セラミック素材は自然な歯のような透明感があり、変色がほとんどありません。歯と歯茎の境目が黒ずむこともありません。
こんな素晴らしい素材なのですが、デメリットは、保険が適用されず治療費がかさんでしまうことです。日本の保険制度は素晴らしく、費用を抑えて治療を受けることができます。それでもやはり、保険が適用される治療の範囲や素材には限界があるのも事実なんです。