「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こちらは2018年に財団法人8020推進財団が発表したデータです。赤い部分が歯周病で歯を失った方の部分です。40代前半という年代の1/4の方が、歯周病で抜歯しなければならなくなっています。50代後半になると、二人に一人の方が歯周病で歯を失っているのです。
歯が生え始めたばかりの赤ちゃんに歯周病菌はいません。大人の歯周病菌が、噛み与えや食器の共用などから感染してしまうんです。唾液感染が、感染ルートでは一番多く、キスや箸・スプーンの共用が考えられます。人間の歯周病菌と同じ菌が犬の口から発見された報告もあります。かわいいペットと歯周病を移しあっては悲しすぎます。動物とキスをするのはやめましょう。
歯周病は歯のまわりにたまったプラークが原因です。プラークは細菌の塊。プラークの中の細菌がからだに入り込もうとするのを阻止しようとして、歯ぐきのまわりに炎症が起こります。炎症性物質は、口腔内の血管から全身にまわり、様々な重大な病気の原因となります。
どれも血管の病気です。全身にまわった歯周病菌は血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)をつくり、血管の壁面からはがれたプラークは血液の通り道を狭くします。狭心症・心筋梗塞は心筋に血液の供給がなくなり死に至る場合もあります。脳梗塞は脳血管がつまる病気です。歯周病の人は、そうでない人より脳梗塞になるリスクが2.8倍も高いのです。
歯周病と糖尿病は相互に悪化させあいます。逆に、糖尿病の患者さんが歯周病を治療すると、血液中のTNF-α濃度が低下し、HbA1c値も改善するという報告がされています。血糖値がさがり血糖値をコントロールする機能が回復するということです。
妊娠している女性が歯周病にかかっていると、低体重児の出産と早産のリスクが高くなることが明らかになっています。喫煙や飲酒、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。
誤嚥性肺炎は細菌が気管から肺の中にはいることによって起こります。免疫力の低下しているご高齢者や、脳血管障害のある方は注意が必要です。お口の中の細菌が命に関わることもあるのです。
お口の中の炎症物資が血液中にはいりこみ、関節炎や糸球体腎炎を起こすことがあります。歯周病は口腔内が常に炎症しており危険な細菌が常駐しているような状態のため、様々な病気の原因となります。