「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
歯が欠けたところや抜けたところの噛む機能を復元させるためには、どのような治療が有効なのでしょうか。一般的には、差し歯、インプラント、入れ歯、ブリッジなど、数種類の治療方法があります。これらの治療方法の特徴、メリットやデメリットは歯科関係者の方でなければ正確に答えることが難しいです。
今回は、差し歯とインプラントについて、治療方法や費用・治療期間などを比較して解説します。
まずは、インプラントについて概要やメリット・デメリットを解説します。
インプラント治療では、歯を失ってしまったところへ人工の歯根(インプラント)を打ち込み、人工の歯根の上に上部構造(義歯)を装着します。
入れ歯やブリッジとインプラントの共通点は「歯が残っているところには治療ができない」という点です。人工歯根は顎の骨に打ち込まれ、時間をかけて骨に固定されます。
一方、入れ歯やブリッジは周囲の歯や歯茎に固定するので、インプラントと異なります。
インプラントのメリットは、以下のとおりです。
入れ歯やブリッジは、固定するため隣の歯に留め具をかけたり、隣の歯を土台にするため歯を削ったりすることがあります。どちらにしても、健康な隣の歯にかかる負担は大きいといえます。
インプラントは、顎の骨に固定するため、周囲の健康な歯に影響を与える可能性が低い治療方法です。健康な歯をできる限り残すためにベストな治療方法といえるでしょう。
インプラントは、顎の骨に打ち込んで固定されるため、入れ歯やブリッジよりもぐらつかず安定感が出ます。
食べ物をしっかりと噛むことができる点は、ほかの治療方法よりも優れています。
インプラントのデメリットは、以下のとおりです。
インプラントは、特例を除いて基本的に自由診療であるため、治療費は比較的高額です。歯科医院によって価格設定は異なりますが、相場としては1本あたり20~60万円ほどかかります。仮に下の顎を全てインプラントにする場合、6~8本ほどインプラントを打ち込むため、数百万円の治療費となるでしょう。
ご自身の経済事情をよく考慮して選択する必要があるでしょう。
入れ歯やブリッジ、差し歯などと比較して、インプラントの治療期間は比較的長いです。
インプラント治療では、ヒアリングや事前診断が済んでから一次手術が行われ、インプラントが打ち込まれます。もし、インプラントを打ち込めるほどの骨がない場合、一次手術の前に骨造成とよばれる骨を作る手術を行い、半年ほど経ってからようやくインプラントを打ち込めます。その後は、半年ほどかけてインプラントと骨を固定させて、ようやく義歯を装着できるのです。
ヒアリングから義歯の装着まで、早くても1年弱、遅ければ2年ほど要します。
つづいて、差し歯の概要やメリット・デメリットを解説します。
差し歯とは、歯が欠けたなど歯根が残っている場合に適用される被せ物を指します。
歯根が残っていない状態(歯が抜けた状態)では差し歯を使用することはできないため、インプラント治療と異なります。
差し歯のメリットは、以下のとおりです。
差し歯の治療が可能な歯科医院は、比較的多いといわれています。
インプラント治療は高い技術が必要なため、対応できる歯科医院は少ないです。差し歯が必要となったときに、近隣の歯科医院で治療できる可能性が高い点は、差し歯治療のメリットといえるでしょう。
差し歯に使用する素材は、金属やプラスチックを選択すれば保険適用内で治療できるため、治療費を安く済ませることができます。
1本で数十万円かかるインプラントよりも経済的といえます。
差し歯治療の手順としては、歯を削って型を取り、差し歯を製作して入れれば完了です。
おおよそ1~2か月で治療が終わるため、年単位で治療するインプラントよりも短い期間で済みます。
差し歯のデメリットは、以下のとおりです。
差し歯を入れて長期間経つと、変色や黒ずみが発生することがあります。保険適用内で作ることができるプラスチック素材は、自由診療下で使われる素材(セラミックなど)よりも変色や黒ずみなどが起こりやすいといわれています。
前歯などよく見えるところが差し歯となる場合は、使用される素材の特徴もしっかり把握したうえで選択しましょう。
差し歯は衝撃に弱いため、硬いものを噛んだとき、顔をぶつけたときなどに割れることや欠けることがあります。
基本的に歯科医院で修復できますが、日常生活で気を付けることが増える点はデメリットといえるでしょう。
つづいて、インプラントと差し歯の特徴を比較します。
<インプラントと差し歯の特徴の比較>
インプラント | 差し歯 | |
対象 | 歯が抜けたところ | 歯が欠けたところ |
費用 |
保険適用外 1本あたり20~60万円ほど |
保険適用の有無を選択可能 保険適用内:数千円 保険適用外:数万円 |
治療期間 | 1~2年間 | 1~2か月 |
寿命 | 10~20年間 |
保険適用内:10年 保険適用外:10~20年 |
見た目 | 天然歯に近い | 素材によって異なる |
固定力 | 高い | 高い(過度な衝撃はNG) |
先述したとおり、インプラントと差し歯では対象とするケースが異なります。ご自身の歯はできる限り残したほうがよいため、もし歯根が残っているのであれば、差し歯治療を選択するのがよいでしょう。
インプラントと差し歯の治療の流れは、以下のとおりです。
まず、インプラント治療の一連の流れをご紹介します。
まずは、患者さまの口腔内を確認します。合わせて、患者さまがどのような治療を希望しているかヒアリングします。
インプラント治療を行うためには、事前にさまざまな検査をしてデータを取る必要があります。データをもとに治療計画を作成して、患者さまにご説明します。
インプラント(人工歯根)を顎の骨に打ち込みます。顎の骨が少ない場合は、事前に骨造成とよばれる骨を作る手術を行い、半年ほど経って骨ができてからインプラントを打ち込みます。
インプラントと骨がしっかり固定されたら、インプラントの上にアバットメント(連結装置)を装着して、アバットメントの上に上部構造(義歯)を取り付けます。
これでインプラント治療は完了です。
インプラント治療後も定期的に歯科医院でメンテナンスを行います。
メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎などの原因となり、最悪のケースではインプラントを除去しなければなりません。治療後のケアは忘れないようにしましょう。
次に、差し歯治療の一連の流れをご紹介します。
インプラント治療と同じく、まずは患者さまの口腔内を確認します。合わせて、患者さまがどのような治療を希望しているかヒアリングします。
レントゲン撮影などで、口腔内のデータを取得します。
差し歯の土台を作るため、歯の中を削り、削ったところへ土台を装着します。その後、歯型を取ります。
製作された差し歯を土台に装着します。セメントを使用して、しっかり固定します。
治療後は、定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、噛み合わせなどをチェックします。
インプラントと差し歯の特徴や治療方法を解説してきましたが、必要に迫られた際はどちらを選択すべきなのでしょうか。
以下、それぞれのケースで選択すべき治療方法を解説いたします。
インプラントにすべきケースは、主に以下の2点があげられます。
差し歯治療に必要な土台(歯根)が確保できない場合は、インプラント治療で噛む機能を補います。また、差し歯治療が可能なケースでも、より高い機能性を求めるのであれば、インプラント治療を選択することもできます。
つづいて、差し歯を選ぶべきケースは、主に以下の1点があげられます。
先述したように、ご自身の歯は可能であれば残すに越したことはありません。差し歯治療が可能であれば、歯根を残すようにしましょう。差し歯治療の中でも素材を選択できるため、ご自身の希望する価格、性能、見た目に応じて素材を選びましょう。
今回は、インプラントと差し歯の特徴、メリット・デメリットなどをまとめました。
インプラント治療は、歯が抜けてしまったところが対象であり、機能面や見た目でのメリットと、治療費が高いデメリットがあります。
一方、差し歯治療は、歯根が残っている方が対象であり、経済的でご自身の歯が残るメリットと、保険適用での素材は機能性が低いデメリットがあります。
インプラント治療や差し歯治療を検討されている方は、千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」にお気軽にご相談ください。