木更津きらら歯科の歯科ブログ

「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。

25年12月03日

歯周病の原因と予防

こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。

歯周病とむし歯、どちらが恐いと思いますか? 歯科医師は、どちらも怖い病気だけれど、どちらかといえば歯周病かも・・・ と答えます。歯周病は、お口の機能を損なうだけでなく、全身の健康にも悪影響をおよぼすからなんです。30歳以上の方の8割が罹患していると言われる歯周病について解説します。
歯をとりまく歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまい、進行すると最後には歯を抜くほかなくなってしまう怖い病気です。炎症性の疾患で、細菌の感染によって引き起こされます。痛みがほとんど感じられず、自分では気づきにくいのが特徴です。

歯周病の原因

プラーク(歯垢)

歯周病の原因は、歯に付着したプラーク(歯垢)です。お口の中には400~700種類の細菌が住んでいるのですが、口腔内の衛生状態が悪くなると細菌がネバネバした物質をつくりだし、歯に強力に付着する細菌の住処となってしまうのです。これがプラークです。プラークの中には、むし歯の原因菌や歯周病を引き起こす細菌も多く住み着いています。うがいや歯みがき程度ではとりのぞくことはできません。

歯石

細菌の住処であるプラークは、放置していると硬い歯石となり、もはやブラッシングだけでは取り除くことができません。この歯石の中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けていきます。

歯周病の悪玉3兄弟

歯周病に深く関わりのある3つの細菌。「レッドコンプレックス」とも言われます。膵臓から分泌される消化酵素と似た働きがあるため、タンパク質を分解し歯ぐきをどんどん傷めてしまう、こわい細菌です。

  • ポルフィロモナス・ジンジバリス菌
    最も歯周病に関わりのある細菌です。腐った卵ような口臭の元となり、歯ぐきの周りに強力に付着し、血液を餌に歯周ポケットをどんどん深くしていきます。タンパク質分解酵素の働きで、骨を溶かして歯の動揺を招きます。日本人の3人に2人は感染していると言われています。
  • トレポネーマ・デンティコラ菌
    血管内にまではいりこんで増殖する細菌です。免疫を抑制してしまう作用があり、歯の根っこの先端に膿ができる根尖性歯周炎を悪化させる原因ともなっています。血管内にもはいりこむことから、心臓の疾患や動脈瘤から検出されることもあります。歯周病が全身の健康に悪影響を与えるのは、血管内で増殖する細菌が関与しているからなんです。
  • タネレラ・フォーサイシア菌
    空気を嫌うこの細菌は、歯の根の方向に深くはいりこんでいこうとする傾向があります。他の細菌を結び付け強固に歯に付着する役割を果たします。歯周病特有の腐った生ごみのような口臭の元となります。タンパク質を分解し、歯ぐきを傷め、歯周ポケットを深くし、歯周病や根尖性歯周炎を悪化させます。

歯周病は生活習慣病

歯周病は生活習慣病の一つとも言われます。歯周病の原因はプラークを住処とする細菌ですが、お口の中の環境や生活習慣にも歯周病を悪化させる要素があります。歯周病予防には、ふだんからのお口の中のセルフケアと同時に、歯周病になりやすい、進行を早くする危険な因子を少なくしていくことが大切です。

生活習慣の中の危険因子

  • ストレス
  • 不規則な生活
  • 食習慣
  • 喫煙

口腔内の環境の危険因子

  • 歯石
  • 悪い咬み合わせ
  • 不適合な被せもの、詰め物など
  • 口呼吸
  • 歯ぎしり・食いしばり

歯周病は全身疾患の危険因子です

逆に、歯周病が全身疾患の危険な因子となることもわかってきました。血液にのって全身をめぐる歯周病原因菌が、全身の健康に悪影響を与えるのです。糖尿病は、歯周病と相互に影響しあっているという報告もされています。

  • 心臓血管疾患
  • 感染性心内膜炎
  • 低体重児早産
  • 糖尿病
  • 肺炎
  • 骨粗鬆症
  • アルツハイマー型認知症

このような重大な病気も歯周病によって悪化する可能性があるのですが、お口の中の状態が健やかであれば、予防できることは多いとお伝え出来ましたでしょうか? ご自身の健康のために、ぜひお口の中を整えることを意識してみてください。

歯周病の予防

正しく歯みがきをする~プラークコントロール

毎日何気なく行っている歯みがきですが、本当にきちんと汚れを落とすことができていますか? 磨き残しがあるとプラークが残ったままになり、歯周病菌の温床に。正しい歯みがき方法を覚えましょう。プラークの付着による細菌感染を防ぐために、毎日の丁寧なブラッシングは重要な予防策のひとつです。

歯みがきのコツ

歯ブラシが歯と歯ぐきの間に届くように気をつけながら、細かく動かしてプラークを落としていきます。強く当てる必要はなく、歯ブラシの毛先が当たるくらいの強さでいいのです。自分の歯に合わせてブラシの先やわきなども使いながら、すみずみまで毛先を当てることを意識して歯みがきしましょう。

歯ブラシの選び方

お口にいれやすく、すみずみまで毛先が当たるヘッドが小さめのものがおすすめです。毛先は歯ぐきを傷付けない程度にある程度の固さがあるものが適しています。そんなこと言われてもわからない、とお思いですか? ぜひ定期検診で、当院の歯科衛生士にお聞きください。また歯ブラシは1か月に1度くらいの頻度で交換しましょう。新しい歯ブラシは気持ちがいいですね!

デンタルフロスや歯間ブラシを活用する

歯ブラシの届きにくい部分の歯垢をしっかり落とすための補助器具を使う習慣をつけましょう。デンタルフロスは歯と歯の間隔が狭い場所のプラークをかき出す糸状のケアグッズです。歯間ブラシは、歯と歯の間をみがくもので、すき間にあったサイズを選ぶことが大切です。。大きい隙間に小さい歯間ブラシを通しても汚れは落ちにくく、狭い隙間に大きなブラシを無理に差し込むと歯ぐきを傷めてしまいます。

歯みがき剤

歯周病予防に関していえば、殺菌効果や炎症を抑える成分が含まれている歯みがき剤が適しています。歯みがき剤に期待できるのはあくまで補助的な効果です。重要なのは、原因となるプラークを取り除く丁寧なブラッシングです。

歯周病にならない生活習慣

歯周病は生活習慣病のひとつとも言われています。食生活や喫煙習慣、疲れやストレスが、お口の健康を損なうのです。生活習慣を見直してご自分のからだを大切にしてあげてください。

栄養バランスのとれた食事

歯周病菌に負けないからだ作りのため、バランスのとれた食事をすることが大切です。歯周病予防に限ったことではありませんが、からだはお口にはいるものから作られています。様々な食材を楽しんで取り入れてください。

だらだら食いをしない

プラークをつくらないためには、頻繁に間食をしたり甘い飲み物を飲んだりすることはお勧めしません。汚れがたまりやすくプラークが付着する原因となります。

禁煙

喫煙者は歯周病になりやすいと考えられています。ニコチンは歯周病をひき起こす細菌の発育を促し、血流や全身の免疫力を低下させます。

ストレスをためない

強いストレスが加わると、自律神経のバランスが崩れて免疫力が低下したり、唾液の分泌が減ったりすると言われています。歯ぎしりや食いしばりもよくありません。歯ぐきへの負担が歯周病の悪化要因になるためです。歯を食いしばってしまうようなストレスは、歯周病だけでなく心とからだの健康によくありませんよね。どうかご自身を大切にしてあげてください。

歯科定期検診を活用しよう

歯科定期検診では、歯周病やむし歯を早期見・早期治療ができること、歯のクリーニングで予防ができること、歯科医師や歯科衛生士がちょっとした違和感にもご相談にのらせていただいたり、お口のケアや効果的なケア用品の使い方をお伝えしたり、お役にたてることがたくさんあります。ぜひ3ヶ月に1度、ご来院ください
歯周病は重大な病気ですが、ご自身の健康を意識することで予防できます。木更津きらら歯科は、お口の健康を通して地域の皆様の健康をお守りします!


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