「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
インプラントは基本的には3つのパーツからできています。
歯の根のかわりとして、顎の骨の中に埋め込まれるねじのような金属体です。ひとつの歯を支えるものですから、大きさは直径が3~5mm、長さ6~18mmほどの小さなパーツです。材質はチタンまたはチタン合金。チタンは生体親和性の高い材料で、骨と結合する特徴があり、長期間、体の中で安定することが分かっています。
インプラント体の上にとりつけるパーツです。インプラント体と上部構造を接合する小さな部品で、コネクターの役割を果たします。人工歯をとりつけると、治療後は隠れて見えなくなります。
クラウンはまさに「歯」の部分であり、強度や機能だけでなく自然な美しさも求められるます。インプラントのクラウンで使用される「ジルコニア」は人工ダイヤモンドとも呼ばれる、強度と美しさをあわせもつ素材です。噛むという強い力に耐える優れた材料です。アバットメントとクラウンをあわせて上部構造と呼ぶこともあります。
インプラントは顎の骨にチタン製のインプラント体(人工歯根)を埋め込む治療です。そのため顎の骨がしっかりしていることが大切です。何らかの理由で顎の骨が足りない場合は、骨を補う必要があります。「骨造成」は足りない骨を補う技術です。
骨移植は骨造成が必要な個所を特殊な薄い膜でおおって空間を確保し、自分の骨や人工骨で補い、歯肉を被せ縫い合わせる手法です。自分の骨を使う場合、下顎の中央部や親知らずの奥の部分の骨を採取することが多いです。採取した個所は自然に復元します。移植した骨は、下顎で3か月、上顎で6か月程度で結合されます。足りなかった顎の骨が造成されたところでインプラント手術に進むことができます。
サイナスとは鼻の周り、目の下にある空洞です。上顎洞、じょうがくどうとも言います。この空洞にまでインプラントがつきぬけてしまうほど、骨が薄い場合は、サイナスの一部分に骨をつくる手術をします。頬側の歯肉をはがして骨を一部とりのぞき、空洞の外側の膜を持ち上げて隙間を作ります。その隙間に骨や骨補填材を移植します。骨がつくられるまでに6ヶ月程度の時間を要します。上顎洞底の粘膜をインプラント体1本分持ち上げる、ソケットリフトという手法もあります。
成長中のお子さんはインプラント治療の対象となりません。インプラントはチタンの骨と結合する性質を利用しているため、顎の骨が発育している段階だとインプラント体が骨に埋没してしまうのです。
若い人の場合は20歳前後くらいから検討できます。20代の方で事故で歯を失ってインプラント治療を選択される方もいらっしゃいます。失った歯を補う治療ですので、20代〜70代まで、患者さまの年齢層は幅広いものとなっています。
ただ外科手術が必要な治療ですので、中高年齢の方の場合、患者さまの健康状態も重要になってきます。
外科手術が伴うため、患者さまの健康の状態も重要です。全身疾患がコントロールされていない方、服用されているお薬によってはインプラント治療はできません。また妊娠中の方にもおすすめいたしません。
高血圧症の方は、外科手術時に動脈硬化が進行して脳や、心臓、腎臓などに合併症が起こるリスクがあります。お薬によって適切な値にコントロールされていることが必要です。
心筋梗塞を発症した方は、心筋梗塞の治療から6ヶ月以上たって、健康状態が良好であればインプラント治療を受けることができます。狭心症は、お薬で良好な状態がコントロールにコントロールできていることが必要です。血栓症の発症を抑制する治療を受けていらっしゃる場合、外科手術での出血時のリスクが高くなることがあります。心疾患のある方は、事前にかかりつけの医師とよくご相談ください。
高血糖は血液中の感染を防ぐ機能を低下させ、術後の感染のリスクが高くなったり、傷がなおりにくくなったりします。高血糖の状態は、インプラント体と顎の骨の結合が阻害される可能性があります。また患者様自身の免疫機能が落ちているため、術後の歯周病や周囲炎にもかかりやすいのです。糖尿病の方は、、手術中のリスクと、手術後のインプラント体と骨の結合に対するリスクの二種類のリスクがあります。
骨粗鬆症は骨密度の低下や骨質の劣化が起こる病気です。インプラント体が安定して骨の中で結合することが出来ないという大きな問題の原因となります。骨粗鬆症等の骨疾患の治療薬ビスホスホネート(BP)は、骨量と骨の安定性を維持するために使用されますが、インプラントの外科手術を行った場合、細菌が歯槽骨に侵入して炎症を起こす可能性が問題となっています。骨粗鬆症の治療中の方は、担当の先生とよくご相談ください。
インプラント体に使用されるチタンは、生体との親和性が高い素材ですが、まれにアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいます。金属アレルギーのある方は、チタンに対してアレルギーがないか、パッチテストや血液による検査をおすすめする場合があります。
診療・施術は日本口腔インプラント学会に認定された専門医、国際的なインプラント学会であるICOI(International Congress of Oral Implantologists)で認定された医師が行います。完全個室のオペ室、3Dレントゲンを完備し、世界No.1と称される歯科用インプラント技術のノーベルバイオケア社のソリューションを採用し治療にあたります。お悩みのことがありましたらぜひご相談ください。
英語のimplant は「植えつける」、「しっかり差し込む」「移植する」という意味を持ちます。医療的には、体内に埋め込まれる器具を表す言葉です。人工関節や心臓のペースメーカー、体内に埋め込むシリコン材料等はどれも「インプラント」です。
歯科医療では失われた歯の根のかわりに人工の歯根を埋め込む治療法を指します。インプラント手術は高度な外科手術であり、歯科医師には、患者さまのお口の中の状態や全身の状態のすべてを考慮したうえで適切な施術をご提案、実施できる高い知識と技術が求められます。
インプラントは失った歯を補うため人工の歯を装着する治療です。第2の永久歯ともいわれ、患者さまがもともとお持ちだったご自身の歯に近い歯をとりもどすことができるのです。人工の歯根と顎の骨が結合され、天然の歯とほぼ同等の噛む力をとりもどすことができます。
歯を失い「入れ歯」を使用する場合、どうしても違和感があり、噛む力がしっかり発揮できないと感じることがあります。インプラントなら、自分の歯のようにしっかり噛むことができます。インプラントの材料に使われることの多いチタンという素材は、骨と結合しやすく劣化しにくいという特徴があり、噛むという強い力に耐えることができるのです。
インプラントに使用する人工歯には、強度と美しさを兼ね備えたセラミックやジルコニアを採用し、口元から見える歯が自然な美しさをとりもどします。入れ歯の金具を気にせずに、よく食べ朗らかに笑うことができるようになります。
インプラントで補った歯は、ほかの歯に悪い影響を与えません。ブリッジや入れ歯の場合、隣の歯を削る必要があり、健康な歯に負担をかけてしまいます。インプラントなら多くの場合、その1本を独立した歯として治療することができるので、他の歯に負担をかけずにすみます。お口の中全体の歯列を少しでも健康に保つことを考えたとき、インプラントが最適な場合が考えられます。
自分の歯でしっかり噛めるというのはありがたいことです。噛むことは必要な栄養を取り入れるために必要なだけでなく、脳の活性化にも関係が関係があるのです。食べものを噛んだとき、歯根膜に沈みこんだ歯はその下の血管を圧縮し、ポンプのように血液を送り出します。ひと噛みで3.5ml、おしょうゆ一指しぶんくらいの血液が、噛むたびに脳に送り込まれたら、脳の刺激となり活性化につながるというイメージをしていただけると思います。
インプラントを選択した場合のデメリットについて考えていきましょう。
インプラントは高度な外科手術を必要とするため、患者さまの全身の健康状態を考慮して治療をすすめる必要があります。妊娠中の方、服薬中の方はご相談ください。また抜歯や経過観察、インプラントが骨と結合するまでに2ヶ月~6か月ほど時間がかかることを考えると、保険診療の範囲で治療したときより通院回数も治療期間も長くなります。そして保険適用外のため、治療費がかさんでしまうということ。治療後のメインテナンスも必要です。おからだに人工的なパーツを装着するわけですから、患者さまと医師が協力して乗り越えていきましょう。
人間は太古から、自分でものを噛んで食べることの大切さを知っていました。2500年前、紀元前5世紀の古代フェニキアの遺跡から現在のブリッジのようなものが発見されています。日本では16世紀、平安時代に木製の総入れ歯が見つかっています。
現代の私たちは、歯を全て失ってしまった場合、総入れ歯(総義歯)を自分の歯の代用品とすることができます。しかし、従来の入れ歯は、固定されていないのではずれやすかったり、違和感があり、なによりも肉を噛み切るといった食べる楽しみは奪われたままです。
インプラントで入れ歯を支える方法ならしっかりと入れ歯が固定され、自分の歯のようにおいしく食べ物をいただき、安心して会話を楽しむことができるようになります。全身の健康にも、気持ちの面でも多大なよい影響があるのです。
ロケーター装置は、インプラントと義歯を装着するにあたって患者さまのお口の状態にあわせて調整しやすい優れた装置です。
インプラントに義歯を装着する部分は、義歯を支える重要な役割を持ち、アバットメントと呼ばれています。イラストは、当院でとりいれているアバットメントの一種で、インプラントの角度に応じて維持力を調整できるロケーター装置です。
こちらは当院で治療した患者さまの例です。
義歯(入れ歯)が合わず、噛むことができない悩みに対するオーバーデンチャー(インプラント義歯)。
女性Oさん(70代)の下顎の治療です。
金色の部分が4本のインプラントに取り付けられたロケーター装置で、オスねじにあたる役割を果たします。青色の、入れ歯へ組み込まれたメスねじにあたる部分で入れ歯を装着します。
義歯の取り外しや装着は、従来の義歯のようにOさんご自身で行うことができます。
Oさんは義歯をしっかりと固定できるようになり、自分の歯のように食べ物をおいしくいただき、また会話も楽しくはずむようになりました。
総入れ歯の方は、不便な上に精神的にも悲しい思いを我慢されていることと思います。インプラントオーバーデンチャーは安定しており長持ちし、予後もよくおすすめできる治療法です。
歯を失った場合、一般的な治療法としてブリッジや部分入れ歯という修復治療があります。しかし、これらの方法は、残った歯に負担がかかります。歯周病などで、残った歯が弱っていると、その歯の寿命も短くなってしまいます。
一般的に、失った歯を補うためには、両サイドの歯を削ってブリッジという冠をかぶせます。
ブリッジの長所は、保険が適用できるので安価に治療できること。また治療期間が短くてすみ、早くまた噛むことができるようになる点です。
欠点は、ブリッジを支えるために、両サイドの歯を削る必要があることです。例えばこのように1本歯がない場合は3本の繋がったブリッジを2本の歯で支えなければいけなくなり、2本の歯に3本分の負担がかかり、歯が折れたりと歯の寿命が短くなりやすいのです。健康な歯であれば削らないにこしたことはありません。
患者さまがインプラント治療を選択する大きな理由のひとつとして、「健康な歯を削りたくない」というものがあります。
歯は削って治療したところから崩壊していくため、長期的に考えるとインプラントのほうがお口の中の健康を長く保つことができるのです。
インプラント治療は、よい歯を残し、お口の中の健康を維持するためには適切な選択なのです。
こちらは当院で治療した患者さまの例です。
交通事故による前歯の欠損に対するインプラント治療
20代女性
※保険外診療(自由診療)
35万円(税抜)〜
審美的にも美しく修復することができました。
前歯の場合、歯を支える骨が薄く、歯を失ってから数か月たつと骨が吸収され、インプラント治療には条件が悪いことが多いのです。骨を作る手術や、歯肉の移植を組み合わせることもあり、高度な技術と経験が必要です。
90年代以降、インプラントに関する様々な論文や調査が発表され、現在では永続性のある信頼できる治療法であることが認められています。またインプラントを支える骨を作る手術や、素材も進化し、CTスキャンによって治療計画の精度も著しく向上しました。失った歯をとりもどすためにインプラントという選択肢をお考えなら、当院にご相談ください。