「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
就寝中は唾液の分泌が減るのです。
唾液にはさまざまな働きがあります。抗菌作用があり、うるおいを保つことによって乾燥による細菌感染からお口の中を守ってくれます。酸性に傾いたお口の中のphバランスを中性にもどし、歯のエナメル質の再石灰化を促し、むし歯のリスクを軽減します。
ところが、眠っている間はこの唾液の分泌が減少するのです。お口の中を健康に保つ、唾液の助けを得ることができなくなります。夜寝る前の歯みがきを怠ると、むし歯や歯周病が発症しやすく、進行も一気に早くなるのです。
口の中の細菌は食後3時間後から急激に増え、約8時間後には最も多くなると言われています。歯みがきしないで寝落ちしてしまった夜、お口の中は細菌の運動会のような状態です。
朝起きたら口臭がして、お口の中がねばねばしているかもしれません。そのまま水を飲んだり食事をしてしまうと口腔内の細菌がそのまま体内に流れ込み、からだの不調の原因ともなります。肌荒れや、便秘、口内炎や風邪につながってしまう場合もあります。もし歯みがきをしないで寝てしまったら、朝起きたときに、まず歯みがきをしてください。
就寝前の歯みがきは、1日の中で1番丁寧にみがくきましょう。歯間ブラシやフロスを使って、しっかりプラークをとりのぞきましょう。虫歯や歯周病、口臭の原因となる細菌の繁殖を抑制する洗口剤を使用することもいいですね。当院では、薬用マウスウォッシュ「コンクールF」をおすすめしています。
歯科医療の立場からは、口腔ケアがウイルス感染予防に役立つと考えられているんです。インフルエンザのように、ウイルスが付着した手で、口や鼻、目などの粘膜にふれることが感染経路となるウイルスの場合、口腔ケアが感染予防になることがわかっています。手を洗うのと同じように、歯みがきの大切さも意識してみてください。
当院開発の歯みがき剤”TOOTH&PEACE”もぜひどうぞ。CBD(カンナビジオール)オイルを配合しています。リラックスやリフレッシュ、眠りの質をよいものにしてくれる効果が期待される成分です。院内で販売している他、オンラインでもお取り扱いしております。
日本歯科医師会制作「歯の学校」No.75 よりご紹介いたします。
はい、歯周病にかかっている方のほうがずっと多いんです。
30代の実に56%の方がInstagramを利用しているというSNS時代なのですが、歯周病にかかっている30代はなんと約70%!
歯周病は、歯と歯ぐきの境目の歯周組織に炎症が起こる細菌感染症です。歯と歯ぐきの境目の、がんこな歯垢(プラーク)が原因です。進行すると、やがて歯が抜けてしまうこともあります。
歯垢(プラーク)は、ねばねばした細菌のかたまりです。細菌にとって快適な環境のため、歯周病菌もどんどん増殖してしまいます。プラークが唾液の中のカルシウムやリンと結びつくと、石灰化し堅い歯石となります。歯石の上にはまたプラークがつきやすくなります。口腔内の健康を保つためには、歯と歯ぐきのすき間のプラークを、歯石となる前にきちんととりのぞくことが大切です。
日本人が歯を失う原因で最も多いのは、「歯周病」です。歯周病とは、歯と歯ぐきの周りにこびりついた細菌の塊が、歯の周りの組織を破壊していきます。炎症の範囲が歯ぐきだけなら「歯肉炎」、炎症が歯根膜や歯槽骨まで及ぶと「歯周炎」となります。重症化すると歯槽膿漏とも言われ、歯を失うことにまで進行してしまうんです。
白く輝くきれいな歯を、真珠のような歯、と言ったりしますが、真珠のように美しいのは、歯の一番外側を覆うエナメル質です。このエナメル質は痛みを感じないんです。なにか食べたりかみ切ったりするたびに痛みを感じたらたいへんです。エナメル質でおおわれているのが象牙質です。根っこの部分は象牙質がむきだしになっています。象牙質は、刺激を痛みとして神経に伝達します。つまり痛みを感じるのは象牙質なんです。
なんらかの理由で象牙質がむきだしになると、痛みを感じることがあります。
加齢によって歯ぐきがさがると、エナメル質でおおわれていない歯の根っこの象牙質が露出し、痛みを噛んじることがあります。ただ加齢により、刺激を痛みとして伝達する象牙質の中の無数の小さな管が塞がってくることもあり、そうすると痛みは感じにくくなりますね。
歯を覆うエナメル質は、お口の中が酸性に傾くと溶け始めます。酸性の飲み物や食べ物を、だらだら口にし続けたり、歯みがきを怠ると、お口の中が中性にもどることができず、エナメル質を傷めます。歯(の表面を覆うエナメル質)は意外に簡単に溶けてしまうんですよ。エナメル質が損なわれ、象牙質がむき出しになると、知覚過敏が起こりやすくなります。
事故などで歯が破損して象牙質がむき出しになると、痛みを感じることがあります。これはむし歯の痛みとは異なるものです。
長い間働いてくれる歯は、わずかではありますが少しづつすり減ってきます。エナメル質がなくなって象牙質が露出するということもあります。
食事でお口の中が酸性に傾き、歯の成分が溶け出してしまうことを脱灰と言います。そのままだと歯が溶けてむし歯になってしまうのですが、唾液が、溶け出してしまったカルシウムイオンやリン酸イオンを歯にもどし修復してくれます。再石灰化は、お口の中で常に起こっている働きです。歯みがきをきちんとして再石灰化を促すことで、エナメル質が修復され、知覚過敏が改善されることも多いのです。
刺激を遮ってくれるエナメル質のかわりになる歯と同じような成分の結晶を塗布して、歯の神経へ刺激が伝わらないようにすることで知覚過敏を改善します。歯みがき剤もありますが、歯科クリニックで治療する方が効果が高く即効性もあります。
象牙質を物理的に樹脂の素材(コンポジットレジン)などでコーティングして刺激から守ります。
露出した象牙質にレーザーを照射し、象牙質に伝わる刺激を抑制し、歯の神経への刺激を遮断して知覚過敏の症状を改善します。
妊娠中の白鳥さんは、不安なことばかり。からだを冷やしてはいけないと脱水症状を起こすほど着込んだり、迷信に惑わされたり、そのたびに担当の四宮先生に叱られます。
一見冷たいけれど、患者さんをよく見ている四宮先生、テレビドラマでは星野 源さんが演じられていたのを覚えておいでの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ある日、白鳥さんは四宮先生に訴えます。
「あの 四宮先生・・・・」
「まだ何か?」
「歯が痛いんです」
「歯?」
「はい奥歯が・・・ 全体的に歯が浮いてる感じなんです」
「白鳥さん ここ産科 歯が痛いなら歯医者に行ってください」
「でも…妊娠中は歯の治療なんてできませんよね?」
「逆ですよ
妊娠中こそきちんとした歯の治療やケアが必要です」
「でも薬とか麻酔ってだめですよね?」
妊娠中に歯の治療に行くべきか迷うのはそこですよね。
「妊娠中でも使用できる薬・・・
痛み止めや抗生物質もあります
局所麻酔も通常料の使用なら影響はないです
汗をかきながら白湯を飲むのもけっこうですが・・・
最優先はまず歯の治療でしょ」
「・・・」
そう言われても、妊娠中に歯の治療をしていいものか、不安そうな白鳥さん。自宅で夫さんと話します。
「でも産科の医者が行けって言うなら歯医者に行けば?」
「でもやっぱり薬とか麻酔とかイヤだな~ 何かあったらこわいもん」
「まあ・・・ それもわかるけどさ」
「さっきお婆ちゃんに電話したら 歯にこれ塗ればだいじょうぶだって!」
ガサゴソ
「どれどれ やめとけって塩は・・・」
白鳥さんは、どうしても歯医者に行く気持ちになれません。ついに病院の廊下で、頬を腫れあがらせてうずくまってしまいます。そしてまた四宮先生に叱られることに・・・。
「なんで行かなかったんです? 歯医者・・・」
「・・・」
「さらに頬っぺたがパンパンですよ」
「さらに・・・ やっぱり塩でマッサージすればよかったんですかね?」
「歯医者に行けばよかったんですよ」
「妊娠中はやっぱり赤ちゃんのために治療はしたくないんです」
ご不安な気持ちはわかります。そういうときは、ぜひ医師の意見も聞いてみてください。
「赤ちゃんのためでもあるんですけどね・・・
歯周病により早産や低出生体重児が増えるというデータがあります」
「え?」
「歯周病を治療したからそれらの確率が減るとは断言できませんが・・・ 治療はしたほうがいいに決まっています」
「でもこんなの歯の状態は・・・ 妊娠してからなんです」
クールに熱く、歯周病の危険性について語る四宮先生。
「まず妊娠中は唾液の分泌が減ります
つわりのときなどは歯磨きもままならないコトもあります
口腔内は酸性になり 虫歯も進行しやすい
女性ホルモンの増加により・・・
歯周病原細菌が増殖しやすくなるんです
妊娠前の歯の治療は当然ですが
妊娠中こそ定期的な検診を受けてください
治療は妊娠初期や出産間近は避けた15週から32週
遅くても35週までには受けた方がいいです
歯周病原細菌は腫れた歯肉から容易に血管に侵入し・・・・
全身疾患につながることもあります
ですから歯の状態に緊急性があれば・・・
週数を問わす治療することも必要です」
そんなたいへんなことなんだ・・・ 白鳥さんは観念して歯医者に行く決心をします。
「それじゃあ明日 歯医者に・・・」
「今日行ってください」
「イヤ 今日はちょっと・・・」
ピクピク 怒りで震える四宮先生
「もちろん今日でしょ・・・」
「それと白鳥さん」
「はっ はい・・・」
「歯医者での仰向けの姿勢は・・・・ 気分が悪くなるかもしれないのでお気をつけて」
「・・・・」
妊娠中の方に起こるリスクを描いた白鳥さんのエピソードでした。妊娠中の方が必要以上にご不安になることのないように、少しコミカルに描かれています。
もちろん、患者さまと赤ちゃんの状態は患者さまおひとりおひとり異なります。できたら妊娠がわかる前に治療しておいたほうがいいですよ。妊娠中でも歯周病治療を急いだほうがいい場合もあるのです。妊娠中の方は、どうかおからだを大切に、歯の治療のことも頭にいれておいていただけると嬉しいです。
コウノドリ
鈴ノ木ユウ先生
出版社:講談社
2016年、第40回講談社漫画賞・一般部門受賞
白鳥さんのエピソードは11巻に収録!
昭和50年代にはいって、現在のような歯周病治療が行われるようになりましたが、それも大学病院や限られた歯科医療機関のみでのこと。この歯みがきのCMは当時かなり画期的だったと言えそうです。
歯みがきの際に、軽く出血が見られる程度なら、フロスや歯間ブラシを使ってきちんと歯みがきすることで、歯ぐきがひきしまり基本的には健康な状態にもどっていきます。歯と歯ぐきの境目にプラークがたまっていないか、たまっていたらきれいにとりのぞくために、歯科定期検診をぜひご活用ください。
今日は歯周病ではなくりんごのお話です。“An apple a day keeps the doctor away.” イギリスには「1日1個のりんごを食べていれば医者にかからなくて済む」ということわざがあるそうなんですよ。
りんごのほとんどの成分は、水分です。そして角砂糖14個分ほどの糖質を含みます。風邪をひいて熱があるときには、食欲がなくなり、小さい子供さんは低血糖の状態になりやすくなります。りんごの水分と糖質は、エネルギーの補給源として役に立つのです。
りんごには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方が含まれています。腸の働きを整え、便の排出を助けます。お通じがよくなるんですね。食物繊維は善玉菌の増殖を促すため、腸内環境の改善も期待できます。すりおろしたりんごは赤ちゃんにも優しく作用してくれます。
りんごに多く入っているカリウムには、ナトリウム(塩分)を体外に排出する作用があり、この働きが血圧の上昇を防いでくれます。また、りんご繊維の一つであるペクチンも同じような働きをします。
りんごに含まれているビタミンC等は、鉄分の吸収を高めます。ジュースにしたリンゴは胃液の分泌を促し、鉄分の吸収を助けてくれます。また、リンゴ酸をはじめとする有機酸は、貧血の予防に効果があります。
りんごには、ポリフェノール成分が多く含まれています。りんごポリフェノールは、動脈硬化を抑制する作用、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑える作用、むし歯の原因となる歯垢形成酵素の働きを阻止する作用、肌を白くする作用などが知られています。皮に近いところにも多く含まれていますよ。
45歳男性の症例です。歯根破折により他院で抜歯され、インプラント治療をご希望で来院されました。
2回法は、1回目にインプラントを埋め込む手術を行い、インプラントと骨がしっかり結合したのち、歯ぐきを開いて人工歯のコネクター部分(アバットメント)をとりつける2回目の手術を行う治療法です。骨とインプラントがしっかり結合する時間を設けるためインプラントの離脱のリスクが低くなり、また術式がシンプルで感染のリスクも少なく、全身疾患のある方を含めほとんどの方に適応できる手術です。2回の手術が患者さまの負担になってしまう点、治療にかかる時間が長くなる点がデメリットです。
検査とカウンセリングに基づき、治療計画を決定します。
木更津きらら歯科では、ノーベル・バイオケア社のソリューションを採用しています。スウェーデンに本社を置く同社は、世界で最多の実績をもつインプラント治療ソリューションを提供するメーカーです。
ノーベル・バイオケア社のガイドソリューション、ガイディッドサージェリーによって、膨大な実績からつくられた標本を活用し、患者さまのお口の中や周囲の構造と人工歯などの状況を解析。それぞれの患者さまにふさわしい治療方法を導きだします。
3D画像で撮影可能な最新CTです。1回の放射線量が従来のCTと比較すると非常に少なく、患者さまへ負担の少ない治療が行えます。
インプラントを埋め込む手術には、顎の骨がじゅうぶんな量と幅が必要です。骨量が不十分な場合、骨造成のご提案も可能です。骨量の足りない部分を、自分の骨や人工骨、骨補填材で補う治療です。
歯ぐきを切開して顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、歯肉を縫い合わせます。1~3時間程度を要します。インプラントの材料には生体と親和性の高いチタンを使用します。チタンは骨と結合し人体の一部として馴染む性質があります。歯を失い歯根が損なわれている場合でも、自然な自分の歯に近いものをとりもどすことができます。当院では完全個室のオぺ室があり入院の必要はありません。
チタン製のインプラントが顎の骨としっかり結合して定着するまで、上顎で2~6か月程度、下顎で2~3か月程度の時間が必要です。
2次手術では歯肉を開き、歯冠部分と歯根部分を連結する支台(アバットメント)を装着する治療を行います。
いよいよ人工歯を被せる段階です。骨とインプラントの結合を確認し、型取りをして技工士と相談しながら、患者さまの口元や他の歯の状態になじむように、人工歯を作成します。最終的に人工歯をかぶせてインプラント治療は完了です。
インプラントは、ご自分の歯と同様、歯のまわりの歯肉が健康であることがとても重要です。埋め込んだインプラントの周囲の歯ぐきが傷んだり、やせてしまったり、炎症を起こしたりすると、ものがうまく噛めなくなったり、最悪の場合はインプラントが脱落する可能性もあります。インプラントを長期的にご使用いただくために、患者さまご自身による歯みがきやデンタルフロスでのケアはかかせません。当院でも定期的なケアをしていきます。3か月に一度程度、ご来院ください。
2回法は手術を2回行うことからそう呼ばれます。インプラントと骨がしっかりと結合するのを待つ時間を設けることにより、インプラントの脱落のリスクが低くなるメリットがあります。一回の手術で行う治療がシンプルなため感染症のリスクを抑えることができ、全身疾患をお持ちの方を含め、ほどんとの方に適応できる手術です。デメリットとしては、2度の手術は患者さまのご負担が大きくなり、治療期間が長くなるという点があります。
1回目の手術では、歯肉を切開し、顎の骨にドリルでインプラントをいれるスペースを作ります。インプラントを埋め入れたら歯肉を被せて縫合し、完全に埋め込みます。そしてインプラントと骨がしっかり結合するのを待って、次の段階にすすむのです。インプラントと骨が結合するまで、3ヶ月~6か月ほどかかります。
インプラントが顎の骨と結合したら、上部構造をセットするための2次手術を行います。歯ぐきを開いてインプラントの頭を出し、人工歯と結合するコネクター部分(アバットメントといいます)を装着する治療を行います。
いよいよ人工歯を被せる段階になりました。型を取って、技工士と相談しながら患者さまの口元や他の歯の状態になじむように人工歯を作成します。人工歯をアバットメントにセットしてインプラント治療は完了です。
1回法では、インプラント体とアバットメントが一体化したパーツを使います。歯肉を切り開いて、または小さな穴をあけてインプラントを埋め込んだら、アバットメントを装着します。アバットメント部分は大きなキャップのようなもので、歯肉の上に露出した状態のままにします。この状態で、インプラントと顎の骨が結合するのを待ちます。インプラントと骨が結合したら、そのまま仕上げの治療にはいれます。型をとって人工歯を作製します。
1回法のメリットは、手術が1回ですむので患者さまのご負担が2回法より軽くなること、2回法に比べて治療期間を短縮できることです。インプラントを埋め込む顎の骨がしっかりとあることが条件です。
立体CTスキャンやコンピュータのシュミレーションプログラムで、口腔内のガイドを作成し、ガイドに従って歯肉を切ることなくインプラントを埋め込みます。手術は1回だけで、腫れも少なく術後も痛みが少ないのが特徴です。目視をせずにガイドに従って手術を行うことになるので、太い舌動脈に隣接する下あごの手術には十分な検討と高度な技術が必要です。
木更津きらら歯科では最新の設備を備えておりフラップレスにも対応いたします。
インプラントは基本的には3つのパーツからできています。
歯の根のかわりとして、顎の骨の中に埋め込まれるねじのような金属体です。ひとつの歯を支えるものですから、大きさは直径が3~5mm、長さ6~18mmほどの小さなパーツです。材質はチタンまたはチタン合金。チタンは生体親和性の高い材料で、骨と結合する特徴があり、長期間、体の中で安定することが分かっています。
インプラント体の上にとりつけるパーツです。インプラント体と上部構造を接合する小さな部品で、コネクターの役割を果たします。人工歯をとりつけると、治療後は隠れて見えなくなります。
クラウンはまさに「歯」の部分であり、強度や機能だけでなく自然な美しさも求められるます。インプラントのクラウンで使用される「ジルコニア」は人工ダイヤモンドとも呼ばれる、強度と美しさをあわせもつ素材です。噛むという強い力に耐える優れた材料です。アバットメントとクラウンをあわせて上部構造と呼ぶこともあります。
インプラントは顎の骨にチタン製のインプラント体(人工歯根)を埋め込む治療です。そのため顎の骨がしっかりしていることが大切です。何らかの理由で顎の骨が足りない場合は、骨を補う必要があります。「骨造成」は足りない骨を補う技術です。
骨移植は骨造成が必要な個所を特殊な薄い膜でおおって空間を確保し、自分の骨や人工骨で補い、歯肉を被せ縫い合わせる手法です。自分の骨を使う場合、下顎の中央部や親知らずの奥の部分の骨を採取することが多いです。採取した個所は自然に復元します。移植した骨は、下顎で3か月、上顎で6か月程度で結合されます。足りなかった顎の骨が造成されたところでインプラント手術に進むことができます。
サイナスとは鼻の周り、目の下にある空洞です。上顎洞、じょうがくどうとも言います。この空洞にまでインプラントがつきぬけてしまうほど、骨が薄い場合は、サイナスの一部分に骨をつくる手術をします。頬側の歯肉をはがして骨を一部とりのぞき、空洞の外側の膜を持ち上げて隙間を作ります。その隙間に骨や骨補填材を移植します。骨がつくられるまでに6ヶ月程度の時間を要します。上顎洞底の粘膜をインプラント体1本分持ち上げる、ソケットリフトという手法もあります。
成長中のお子さんはインプラント治療の対象となりません。インプラントはチタンの骨と結合する性質を利用しているため、顎の骨が発育している段階だとインプラント体が骨に埋没してしまうのです。
若い人の場合は20歳前後くらいから検討できます。20代の方で事故で歯を失ってインプラント治療を選択される方もいらっしゃいます。失った歯を補う治療ですので、20代〜70代まで、患者さまの年齢層は幅広いものとなっています。
ただ外科手術が必要な治療ですので、中高年齢の方の場合、患者さまの健康状態も重要になってきます。
外科手術が伴うため、患者さまの健康の状態も重要です。全身疾患がコントロールされていない方、服用されているお薬によってはインプラント治療はできません。また妊娠中の方にもおすすめいたしません。
高血圧症の方は、外科手術時に動脈硬化が進行して脳や、心臓、腎臓などに合併症が起こるリスクがあります。お薬によって適切な値にコントロールされていることが必要です。
心筋梗塞を発症した方は、心筋梗塞の治療から6ヶ月以上たって、健康状態が良好であればインプラント治療を受けることができます。狭心症は、お薬で良好な状態がコントロールにコントロールできていることが必要です。血栓症の発症を抑制する治療を受けていらっしゃる場合、外科手術での出血時のリスクが高くなることがあります。心疾患のある方は、事前にかかりつけの医師とよくご相談ください。
高血糖は血液中の感染を防ぐ機能を低下させ、術後の感染のリスクが高くなったり、傷がなおりにくくなったりします。高血糖の状態は、インプラント体と顎の骨の結合が阻害される可能性があります。また患者様自身の免疫機能が落ちているため、術後の歯周病や周囲炎にもかかりやすいのです。糖尿病の方は、、手術中のリスクと、手術後のインプラント体と骨の結合に対するリスクの二種類のリスクがあります。
骨粗鬆症は骨密度の低下や骨質の劣化が起こる病気です。インプラント体が安定して骨の中で結合することが出来ないという大きな問題の原因となります。骨粗鬆症等の骨疾患の治療薬ビスホスホネート(BP)は、骨量と骨の安定性を維持するために使用されますが、インプラントの外科手術を行った場合、細菌が歯槽骨に侵入して炎症を起こす可能性が問題となっています。骨粗鬆症の治療中の方は、担当の先生とよくご相談ください。
インプラント体に使用されるチタンは、生体との親和性が高い素材ですが、まれにアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいます。金属アレルギーのある方は、チタンに対してアレルギーがないか、パッチテストや血液による検査をおすすめする場合があります。
診療・施術は日本口腔インプラント学会に認定された専門医、国際的なインプラント学会であるICOI(International Congress of Oral Implantologists)で認定された医師が行います。完全個室のオペ室、3Dレントゲンを完備し、世界No.1と称される歯科用インプラント技術のノーベルバイオケア社のソリューションを採用し治療にあたります。お悩みのことがありましたらぜひご相談ください。
英語のimplant は「植えつける」、「しっかり差し込む」「移植する」という意味を持ちます。医療的には、体内に埋め込まれる器具を表す言葉です。人工関節や心臓のペースメーカー、体内に埋め込むシリコン材料等はどれも「インプラント」です。
歯科医療では失われた歯の根のかわりに人工の歯根を埋め込む治療法を指します。インプラント手術は高度な外科手術であり、歯科医師には、患者さまのお口の中の状態や全身の状態のすべてを考慮したうえで適切な施術をご提案、実施できる高い知識と技術が求められます。
インプラントは失った歯を補うため人工の歯を装着する治療です。第2の永久歯ともいわれ、患者さまがもともとお持ちだったご自身の歯に近い歯をとりもどすことができるのです。人工の歯根と顎の骨が結合され、天然の歯とほぼ同等の噛む力をとりもどすことができます。
歯を失い「入れ歯」を使用する場合、どうしても違和感があり、噛む力がしっかり発揮できないと感じることがあります。インプラントなら、自分の歯のようにしっかり噛むことができます。インプラントの材料に使われることの多いチタンという素材は、骨と結合しやすく劣化しにくいという特徴があり、噛むという強い力に耐えることができるのです。
インプラントに使用する人工歯には、強度と美しさを兼ね備えたセラミックやジルコニアを採用し、口元から見える歯が自然な美しさをとりもどします。入れ歯の金具を気にせずに、よく食べ朗らかに笑うことができるようになります。
インプラントで補った歯は、ほかの歯に悪い影響を与えません。ブリッジや入れ歯の場合、隣の歯を削る必要があり、健康な歯に負担をかけてしまいます。インプラントなら多くの場合、その1本を独立した歯として治療することができるので、他の歯に負担をかけずにすみます。お口の中全体の歯列を少しでも健康に保つことを考えたとき、インプラントが最適な場合が考えられます。
自分の歯でしっかり噛めるというのはありがたいことです。噛むことは必要な栄養を取り入れるために必要なだけでなく、脳の活性化にも関係が関係があるのです。食べものを噛んだとき、歯根膜に沈みこんだ歯はその下の血管を圧縮し、ポンプのように血液を送り出します。ひと噛みで3.5ml、おしょうゆ一指しぶんくらいの血液が、噛むたびに脳に送り込まれたら、脳の刺激となり活性化につながるというイメージをしていただけると思います。
インプラントを選択した場合のデメリットについて考えていきましょう。
インプラントは高度な外科手術を必要とするため、患者さまの全身の健康状態を考慮して治療をすすめる必要があります。妊娠中の方、服薬中の方はご相談ください。また抜歯や経過観察、インプラントが骨と結合するまでに2ヶ月~6か月ほど時間がかかることを考えると、保険診療の範囲で治療したときより通院回数も治療期間も長くなります。そして保険適用外のため、治療費がかさんでしまうということ。治療後のメインテナンスも必要です。おからだに人工的なパーツを装着するわけですから、患者さまと医師が協力して乗り越えていきましょう。
弥生時代から現代まで、1回の食事で噛む回数は変わってきたのか? 面白いことを研究された方がいらっしゃいます。神奈川歯科大学元教授の齋藤滋先生と食文化史研究家の永山久夫先生です。学生さんが被験者となり、それぞれの時代の食事を食べてもらい測定したそうです。すると驚きの結果が・・・!
引用:『よく噛んで食べる 忘れられた究極の健康法』齋藤滋、生活人新書
現代の私たちは1回の食事につき600回程度しか噛んでいないのですね。数字としてあらわれると明確です。
「噛む力」が弱くなる要因のひとつは、軟食化の傾向です。日本医師会が8月に1万人の方を対象に行った調査でも、現代人は硬い食べ物を避ける傾向にあると明らかです。
日本歯科医師会「歯科医療に関する一般生活者意識調査」2022年11月7日
全体の2人に1人が「硬い食べ物より柔らかい食べ物が好き」(47.0%)、4人に1人が「子どもの頃から硬い物を食べる習慣があまりなかった」(25.1%)と答えました。
特に若い人の回答に少し驚きました。70代より、10代のほうが、「軟らかいものが好き」と回答した人が多かったのにはちょっとびっくりです。また10代の半数近くの方が、食べこぼしや滑舌の悪さなどの口腔機能の問題を経験しているのだそうだです。「硬い物を食べるときに噛み切れないことがある」のも10代が一番多いです。「食事で噛んでいると顎が疲れる」とおっしゃる方も半数以上いらっしゃるのです。
日本人のお口の中に何が起こっているのでしょうか? 若い人の口腔機能はもしかしたら私たちの思っている以上に未発達なのではないでしょうか。
「噛む力」の低下は、口のまわりの筋肉や顎の骨の未発達につながり、歯並びの乱れや顎関節症を起こすリスクとなってしまいます。食物繊維が多く含まれている歯ごたえのある食べ物や、肉などよく噛んで食べる必要があるどタンパク質を多く含んだ食べ物の摂取量の低下につながり、栄養の偏りやひいては運動機能の低下にもつながっていきます。
マスクをしているとなんとなく息苦しくて、いつのまにか「口呼吸」になっていませんか。口を開けて呼吸していると、口腔内が乾燥し唾液が減少します。抗菌力がありウイルスの侵入を防いでくれる唾液が減ると、免疫機能が低下してしまいます。
唾液には、抗菌作用があり、食べかすを洗い流してくれるといった自浄作用があります。口呼吸でお口の中が乾燥していると、汚れが着きやすくなり、プラークが付着しやすくなります。そのうえ唾液の機能が低下し、むし歯や歯周病の温床となってしまうのです。
口呼吸により常に口を開けている状態は、唇の筋肉の衰えの原因となります。お口のまわりの筋肉が衰えると、が歯並びや噛み合わが乱れを招きます。口が常に開いている状態だと、舌が下に下がり唇と舌のバランスが崩れ、出っ歯や乱ぐい歯、開咬といった不正咬合の原因となります。
子供たちは、マスクをつけるのが当たり前の世の中で成長している世代です。マスク生活による口呼吸が歯並びの乱れにつながったり、表情筋の衰えが将来のお顔の見た目に影響がでてくるかもしれません。
口呼吸ではなく鼻呼吸の習慣を身に着け、お口のまわりの筋肉を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか?
意外にもよく噛んで食べることを心掛けるだけでいいのです。マスク生活の中では、お口まわりの筋肉や表情筋が衰えて、お口が開きっぱなしになったり、どんより老け顔になったりしがちです。お口のまわりの筋肉を鍛えましょう。
「あいうべ体操」もおすすめです。「あー」「いー」「うー」「べー」とそれぞれお口を大きくあけて、30回。お顔のストレッチのつもりでやってみませんか。
今日の記事や画像は、株式会社ロッテさんのアンケート調査を参考・引用させていただきました。歯科医療的にもうなずけるところがたくさんありました。
お口の中のがんの発生頻度は、がん全体のなかでは1~3%程度で、決して「よくある」ということではありません。しかも初期のうちに治療すれば、5年生存率は90%以上という報告もされています。しかし、あまり知られていないため、発見が遅れると舌やあごの骨を切除しなければならなくなったり、死にいたることもあるのです。
痛みやしこりが感じられるようになったらすでに進行しているかもしれません。舌や歯ぐきが盛り上がって変形していたり、しこりのようなものを感じたら要注意です。なかなかなおらない口内炎もちょっと心配ですね。
口口腔がんは、早期に発見できれば「なおる」、とも言われています。対策は簡単です。歯科医院の定期検診に来ていただければいいのです。行政が行っている検診もありますので、活用してください。
お口の中の異変は、自分の目で見て気づくことができます。40代以上のかたは、月に1回、お口の中もセルフチェックをしましょう。
健康なお口の中の粘膜はピンク色ですが、前がん病変という粘膜の病気にかかると白く斑な部分ができたり、赤かったり黒かったりする部分ができたりします。ほおっておくと、「がん」にまで進行する可能性の高い病変です。そうなる前に、からだがサインをだしていたら、見逃さないようにしましょう。
マウスピース型矯正装置は透明で目立たず、装着していることが外見上ほとんどわかりません。治療計画にそって、少しづづ目的の歯並びに近いづいていくマウスピースをお渡しするので、通院の回数も少なくてすみます。ただし患者さまが、ご自分で毎日の装着時間を守っていただくなどの自己管理が必要になります。
患者さまの歯並びやお口の中の状態はそれぞれ異なりますので、「こういうときにはこれ」と一概には申し上げにくいのですが、おおまかに、前歯のみの矯正がしたいケース、歯並び全体の矯正が必要なケースに、大きくわけることができます。
前歯のみ矯正したい場合で、比較的容易な症例のときにインビザラインGoが適しています。前歯から1番め~5番目の歯を動かします。抜歯はありません。乱ぐい歯やすきっ歯、口を閉じたときに、前歯の上の歯が下の歯の内側にあるいわゆる受け口の状態、前歯が咬み合わない状態を矯正したい場合、インビザラインGoの選択が考えられます。
歯科インプラントの代表的なリーディングカンパニー、ストローマン社のグループ会社が提供しているシステムです。前歯から1番め~7番目の歯を動かします。抜歯はありません。歯肉の2mm程度までを包むように設計されていて、矯正力が強いというのがセールスポイントです。
上記で対応できないような、乱れた歯並びの際に検討します。抜歯を検討する場合も、抜歯の必要がない場合もあります。
マウスピース矯正では効果を見込めない場合もあります。ワイヤー矯正は適用範囲が広く、過去の知見の蓄積も豊富で確実な結果を得られる可能性が高いです。当院では目立ちにくいプラスチックやセラミックのブラケットを推奨しています。
食べること、会話をすること、笑顔で気持ちを表すこと、これらはどれもお口に関係しています。でも子どもたちの成長は千差万別。皆が同じように発達していくわけではありません。おっぱいの飲み方が上手だったりうまくいかなかったり、好き嫌いが激しかったり、言葉が早い子もなかなかしゃべり出さない子もいます。子育て中はなぜどうしてと思うことがたくさんありますよね。そのような時に歯科医が力になれることがあるかもしれません。
口腔機能の発達はお母さんのおなかの中にいる時から始まり、赤ちゃんのお誕生から、学童期まで続いていきます。
乳幼児期は食べる機能の基本を学ぶとても大切な時期です。食べるためには上手にお口が動き、噛むための歯が生えて食べ方を覚えていく必要があります。よく噛んで食べるためにはお口の動きの発達とともに噛むための歯が生えていてしっかり噛み合わせができていることが大切です。
幼児期の子どもの場合、おっぱいを飲んでいる時期の飲み方が残っていることがあります。舌を前の方に出して、上あごと下でおっぱいを挟み込む飲み込み方です。乳児型嚥下、舌突出型嚥下と言いますが、この飲み込み方がずっと続くと開咬(かいこう)といって、上下の前歯の間に隙間ができてしまう噛み合わせの問題となることがあります。早めに対応していくようにしましょう。
子どもは大人に比べて筋肉の力も弱いので薄っぺらくて筋のある食べ物は難しいかもしれません。無理に頑張って食べさせることが続いて、丸呑みの癖がついてしまうのはよくありません。また食事への集中力や食べ物の好み、食べる姿勢、動作などさまざまなことが関係しています。早食いは肥満や窒息などのリスクを高めるという側面もありますので、体重が減るといった心配なことがなければお子さまのペースを見守ってあげましょう。
日本歯科医師会が1万人の方を対象とした「歯科医療に関する一般生活者意識調査について」という調査結果を発表しました。
「歯科医療に関する一般生活者意識調査について」
90%以上の方が、全身の健康維持とお口や歯の健康は関係あると認識していらっしゃるのに、具体的にどういうことなのかいまひとつ明確な知識をお持ちでないという結果が明らかになっています。
ひとつまえの記事では「循環器」「感染症」「認知症」についてご紹介しました。今日は、「糖尿病」「唾液」「自分の歯」のお話です。
糖尿病になると歯周病になりやすく、歯周病になると糖尿病になりやすいのです。歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されています。
糖尿病は、『インスリンの作用不足が慢性高血糖の状態をおこし、特有の合併症や動脈硬化を進行させる病気』です。糖尿病の合併症としては、目の病気、神経の障害、腎臓の病気、動脈硬化、心筋梗塞や脳卒中がよく知られていますが、歯周病は「第6の合併症」とも言われており、糖尿病の方は歯周病の進行が著しく早くなるのです。
一方で、歯周病が糖尿病のリスクを高めることもわかっています。歯周病に感染し毒素が体内に侵入しやすい状態になっていると、からだが毒素を排除しようとしてインスリンの作用を妨げる悪玉物質を作ってしまうのです。
逆に、歯周病をきちんと治療すると糖尿病も改善するケースがあることが明らかになってきました。
全身の健康に大きく関係のあるお口の中の働きものが、「唾液」です。唾液には多くの成分が含まれています。食事で酸性に傾いたお口の中を中性にもどしたり、歯の脱灰を修復したり、病原菌の感染や侵入を防ぐ抗菌作用もあります唾液には様々な機能があります。
唾液は健康的な唾液はとてもさわやかですよ。
20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。食べ物をしっかり噛むことができれば全身の栄養状態も良好になりますし、よく噛むことで脳が活性化され、認知症のリスクが軽減するという調査結果も出ています。
高齢になり20本の歯を保てなかったとしても、お口の中の状態を大切にして、自分にあった義歯(入れ歯)などを使用しすることで20本あるのと同程度の効果が得られます。高齢社会においては、健康寿命を延ばすためにお口の健康はとても大切なんです。
日本歯科医師会が1万人の方に行った調査によると、ほとんどの方が、歯やお口の健康は全身の健康維持と関係があると認識していらっしゃいます。ですが、具体的にどう関係あるかということになると、ぴんときていらっしゃらない方が多いようなんです。
調査の設問のキーワードとなる言葉のうち、「循環器」「感染症」「認知症」についてご説明します。
歯を磨いていて歯ぐきから出血したことがありますか? 血がでるということは血管が壊れているということ。細菌はそこから血液にはいりこみ、血流にのって、数秒で心臓に届くと言われています。
むし歯の原因菌のなかには、歯に強力に付着してプラークを形成するものがありますが、この菌は臓器に対しても付着してしまうのです。血管内の細胞に付着したプラークが血管を狭めたり、心臓弁膜症の治療中の方の人工弁や、関節リウマチを治療中の方の人工関節にくっついて細菌の巣となってしまいます。口の中の細菌が、循環器、呼吸器、消化器などに慢性炎症の原因となってしまうことがあるのです。
舌磨きなど口腔内を清潔にすることで、インフルエンザへの感染リスクを下げることができます。口腔内を清潔にすることで、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを軽減できる可能性も考えられています。特に危険なのは歯周病です。細菌の温床となり、ウイルス感染のリスクが高くなってしまうのです。
よく噛むことは脳の働きを活発にすることがわかっています。よく噛み、脳血流量を増やすことで、認知症の予防につながることが期待されています。逆に、重度の認知症の方はお口の中の状態が悪く、自分で噛むことができない状態が目立つのです。また歯を失う大きな要因である歯周病菌が、アルツハイマー型認知症の原因となることもわかってきました。介護の現場では、歯がない人は認知症の進行が速いようだと認識されていると言っていいのではないでしょうか。歯の本数が多い人ほど認知症になるリスクが少ないという調査結果もあるのです。
子供の乳歯が抜けて永久歯に生え変わる時期は、あごの成長の度合いなどにより個人差があります。乳歯が抜けるころには、大人の歯が顔をだそうともう準備しています。乳歯の下に埋まっている永久歯の準備ができて、自然に出ようとすると、乳歯の歯根が溶け始めます。
グラグラしている段階では、乳歯の歯根があごの骨(歯槽骨)の中でまだ一部つながっているので、無理に抜こうとしないでください。乳歯が途中で折れると永久歯の生えるスペースがなくなり、横から生えてきたりして歯並びに影響を及ぼします。お子さまはつい舌でさわってしまうかもしれません。「さわらないで、大事にね」と教えてあげてください。
生え変わる準備ができると、乳歯は食べ物を噛んだり歯みがきをしているときに自然とぽろっと抜けます。自分の歯がぽろっと抜けて、血がでたりもするので、お子さんはびっくりするかもしれません。
乳歯が抜けない、永久歯が生えてこないといったときには、なにか理由があるのかもしれません。お子さまの将来のお口の健康のためになにができるか見ていきましょう。
一般的な歯の生え変わりの時期を過ぎても乳歯が抜けない状態を、「大人乳歯」と呼びます。永久歯が作られていない可能性も考えられます。歯科で検査を受け医師に相談してみましょう。
乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてくることがあります。こちらも歯科にご相談することをおすすめします。永久歯の生え方に影響し、歯並びが悪くなる可能性があります。
乳歯が抜けてからあまりにも長い間永久歯が生えてこなかったり、反対側の歯は生えているのに、というような症状は、もともと永久歯がもともとない、ということも考えられます。永久歯が生えるまでには3ヶ月〜1年ぐらいかかる場合もありますが、放っておかずに医師に相談されることをおすすめします。
女優の菅野美穂さんが、ずっと残っている乳歯をお持ちで100歳まで大事にしたいとおっしゃっていたことがあります。個人差があり様々なケースがありますので、お子様の歯の状態に不安があったら歯科医師にご相談ください。
赤ちゃんが夜中に目を覚まし、原因があるわけでもないようなのに泣き続けることを夜泣きといいますね。消化に関する腹痛が原因となっているのではという見方があります。お腹がふくらんで緊張し、足をまげてお腹につけている姿が見られませんか? 背中をとんとんしてあげると少し落ち着くのは、排ガスによる効果かもしれません。
夜泣きの原因は、腸内細菌叢(さいきんそう)、腸内フローラのアンバランスではないかという研究が海外を中心に進んでいます。夜泣きの対策として、腸内フローラのバランスを誘導するサプリメントが効果があるという報告がされています。
写真は2017年に開催された第64回日本小児保健協会学術集会の、兵庫医科大学小児科学講座 服部益治先生の発表より引用させていただきました。
夜泣き(コリック・乳児臍疝痛)をする赤ちゃんに、腸内フローラを整える乳酸菌の中でも、ロイテリ菌のサプリメントを与えたところ,28日後に泣いている時間が74%減少したことが報告されたそうです。その後も,様々な臨床研究でもロイテリ菌の効果が報告されているということ。また,便秘の改善においてもロイテリ菌の効果があるということです。さらに口腔内菌質の改善(歯肉炎)や口臭対策,ピロリ菌の除菌・制菌とその効果は幅広く確認されています。
ロイテリ菌は本来母乳に含まれている菌なのですが,現代のお母さんの母乳内で減少している可能性があり、このサプリメントが栄養補助食品としても評価が上がっているそうです。
腸管では、からだの免疫組織の実に50%以上が働いています。免疫力アップに重要なのは、腸内細菌の状態なんです。腸の壁には、菌の花畑のように身体の調子を健やかに整える善玉菌、身体全体に悪い影響をおよぼしてしまう悪玉菌、善玉菌になったり悪玉菌になったりする日和見菌といった菌が、何百兆も生息しています。この菌の花畑が、善玉菌がよく働き悪玉菌が働きをひそめる、そのバランスが免疫機能、ひいては健康や美容にとても大切なのです。免疫機能がきちんと働いていれば歯周病予防にもなりますよ。
当院では、トローチ錠のサプリでロイテリ菌をとりいれることのできる、大人向け「L.ロイテリ菌プロデンティス株」、お子様向け「Bio Gaia チャイルドヘルス30錠」を取り扱っております。ご興味のある方はぜひご来院の際にお声掛けください。
年をとってくると、歯がのびたように見えることがありませんか? それは、歯が伸びたのではなく、歯ぐきが下がったんです。その歯の根元にできる「歯の根むし歯」をほおっておくと、健康にとってとても重大な事態を引き起こします。
歯の根むし歯のスペシャリスト、愛知学院大学歯学部 保存修復学講座 特殊診療科教授 冨士谷 盛興(もりおき)先生にお話しをうかがいました。
※情報や出演者の肩書きは撮影時のものです。
歯ぐきは年をとると誰でもさがっていきます。30代でさがりはじめて、40代で8割以上、60代になると100%の方が歯ぐきが下がっています。毎日少しづつ下がっていくので、気づいていない人も多いと思いかもしれません
歯の根むし歯をおほっておくと、複数の歯がむし歯になって、歯を失う原因になり、口の機能が低下し、ご高齢者の場合は要介護に至る危険性もあります。また全身の病気に関連する歯周病を引き起こす原因にもなるんです。
歯の根むし歯は、治療がむずかしいところがあります。重症化しやすいのに進行が遅いため、気づきにくいという特徴があるからです。
歯は歯ぐきから上の部分はからだの中で最も堅い組織、エナメル質でできていて、そのエナメル質で守られているのが象牙質です。歯ぐきがさがると、この象牙質が露出してしまいます。象牙質は酸に弱くて溶けやすく、表面がざらざらしていて汚れが付きやすいためめ、虫歯になりやすいんです。
食べかすを歯の間に残さないことが重要です。食事の余韻を楽しまず、食後5分以内に口をゆすぐことが効果的です。大切なのは、歯の間にモノが挟まっていると気持ちが悪いという感覚を持つことです。
口をゆすぐときにはぶくぶくうがい。頬をふくらませて勢いよく歯と歯の間を洗い流します。また食後の歯みがきは二段階磨きで行います。普段通りに歯をみがいたあと、歯と歯ぐきの境目を意識してみがきましょう。
歯みがきで絶対にやってはいけないことが、力をいれてゴシゴシ磨きをすること。歯ぐきを傷つけ、歯ぐきががる原因にもなります。軽く当てて、小さく動かすだけでも汚れはとれます。
電動歯ブラシもおすすめです。力をいれずに毛先を軽くあてるだけできれいになります。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯の間の食べかすをとることも効果的です。歯みがき粉はフッ素配合で濃度が高いものを使うと、歯の表面を保護する効果が高まります。
歯ぐきがさがったら、元に戻す方法はありません。だから、歯ぐきが下がっていることに気づいた時からケアをすることが大切なんです。歯医者の定期検診にいって歯垢や歯石をとりのぞいてもらい、自分にあった歯みがきの仕方を教えてもらいましょう。また歯の根元がしみるなど症状がある方はすぐに歯医者で受診を。