「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
赤ちゃんの乳歯となる歯の芽(歯胚)は、胎生7週ころからもうできはじめます。4カ月の後半にはカルシウムやリンが固まって乳歯が形成されてきます。永久歯の歯胚は、4~5カ月くらいにできはじめます。お母さんの食べるものが、赤ちゃんの歯や骨やからだを作っていくんですね。
カルシウム、リン、タンパク質、ビタミンA・C・Dなどがあげられますが、これを食べればいいというものではなく、バランスのよい食事が大切です。偏りなく栄養のあるものを食べていれば、神経質にならなくてもだいじょうぶ。
つわり時には歯みがきがつらいこともありますよね。妊娠中の歯みがきはヘッドの小さい歯ブラシを使い、舌にあてないように小刻みに動かすことがコツです。前かがみになると嘔吐感を避けやすくなります。
どうしてもつらいときは、キシリトールのガムやタブレット、洗口剤を利用して、お口の中を清潔に保ちましょう。
酸っぱいものが食べたいときには、ご注意ください。お口の中が酸性に傾く時間が長く続くとむし歯になりやすくなってしまいます。
妊娠中の妊娠中は、むし歯や歯周病になりやすく、進行もしやすい状態にあります。女性ホルモンが急激に増加し、食事回数が増えたり寝不足気味になったりと生活のリズムが乱れ、唾液の分泌量も減ってしまうからです。
歯周病は全身の健康にかかわる病気です。歯ぐきの炎症を起こすだけではありません。歯周病菌は炎症を起こす物質とともに、血液を通じて全身をまわります。炎症物質は子宮に到達して子宮収縮の原因となり、早産、低体重児出産の引き金となると言われています。できれば妊娠がわかる前に治療できたらよいですね。
多忙でブラッシングがおろそかになりがちな大人の患者さまや、乳歯のお子さま、永久歯が生えたばかりのお子さまには歯の表面にフッ素を塗布することが予防につながります。お口の中は食事のたびに酸性に傾き、歯の表面のエナメル質が少しづ溶けだします。唾液によって溶けた成分をとりもどす作用を再石灰化といいます。フッ素はエナメル質の再石灰化を促し、初期のむし歯が修復できることもあります。
母体の安定期である16週~27週であれば、通常の歯科治療は可能です。エックス線撮影や局所麻酔も、胎児の影響はほとんどないと考えられます。お薬は妊娠初期の場合、胎児への影響が考えられる種類もありますので医師と相談してください。応急処置をして産後に治療することをおすすめするケースもあります。
妊娠にかかわらずふだんから定期検診を受けていただき、お口の中のケアを続けていただくことが一番です。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にむし歯菌(ミュータンス菌)はいません。唾液を介して、大人から赤ちゃんへ感染するのです。周りの大人の口腔衛生もとても大切なんです。