「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
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親知らずとは、前歯から数えて8番目の奥歯のことを言います。正式には第三大臼歯と呼ばれ、智歯(ちし)とも言います。
親知らずが顎の骨の中で形ができてくるのは、10歳のころ。お口の中に生えてくるのが20歳頃です。お子さんの最初の永久歯が生えてくるのが6歳頃、15歳くらいで多くの場合すべて永久歯に生え変わることを考えると、親知らずは生えてくるのがとても遅いのです。そのせいで、生えてくる場所がなく傾斜したり歯肉の中に埋まったままになったりします。
長い人の歴史で考えれば、食生活の変化により、現代人の口の中が小さくなっていることが原因なのかもしれません。
まっすぐ生えていて、上下がきちんと嚙みあっているのなら抜く必要はありません。他の歯に悪影響を与えたり、口腔内を傷つける可能性がある生え方なら抜いたほうがいいかもしれません。親知らずがどう生えているのか、レントゲンで確認して判断します。抜いたほうがいいケースとして、こんなことが考えられます。
親知らずは最奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯周病にかかりやすいのです。同じ理由から、治療してもまた再発することが考えられます。しかも手前の歯にまでむし歯や歯周病が広がるリスクが大きいのです。
親知らずの周囲の歯ぐきが、唾液中の細菌に感染して炎症を起こすことを智歯周囲炎と言います。歯ぐきが腫れ痛みがあります。1週間くらいでいったん症状が落ち着いても、疲れなどでからだの免疫機能の力が弱まったり、歯みがきが行き届かず細菌が増えてくるとまた腫れてきます。炎症が広がると、顎の骨や筋肉の中にも膿がたまり、喉のあたりまで強い痛みを感じたり、口が開かなくなるほど腫れる場合もあります。このような症状が起きたら抜歯を検討するべきです。
親知らずが傾斜したり横向きに生えていると、手前の歯を押して歯並びに悪い影響をおよぼすことがあります。手前の歯の根っこが弱ってしまうこともあります。歯みがきの難しさは言うまでもありません。うまくケアできなかったらむし歯や歯周病の原因となってしまいます。
上下のどちらかの親知らずだけが生えていると、歯は噛みあう相方がなく余白に伸びていきます。噛みあう歯がない状態で不必要に伸びた歯は、お口の中を傷つける可能性があるのです。むし歯や歯周病、炎症がなくても、抜歯を検討したほうがいいケースです。
親知らずは含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)といった嚢胞や腫瘍の原因になることがあります。嚢胞とは、分泌物が袋状に溜る病気の状態で、痛みはないのですが、骨を溶かしてゆっくりと大きくなり続けます。良性腫瘍の1種ですので、このような場合は抜歯をすることになります。