「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
初診の患者さまには、お口の中を見せていただくだけでなく、様々な検査を受けていただくことがあります。「こんなに検査が必要なの?」とお思いになったことはありませんか? それには理由があるのです。
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お口の機能は、28本の歯や顎、そのかみあわせや歯肉の状態が複雑に連動して可能になっています。症状のある歯だけを見るのではなく、お口の中全体から背景にある原因を突き止めます。「お口全体を一つの単位」としてとらえることが最適な治療方針を導くために必要なことなのです。
むし歯ができやすい方、出血がある方、歯の動揺がある方。患者さまのお口の状態はおひとりおひとり異なります。お口の状態の特徴には背景になにか原因があると考えられます。症状の出ている歯は限定されていても、歯科医師が治療計画を立てる際には背景の原因を突き止めたうえで最適な治療法を選択していく必要があります。複数の治療のプランを提案させていただくためにも、あらゆる角度からお口の中を観察させていただく検査はとても重要なのです。
歯科医院ではさまざまな検査を行います。
パノラマ撮影は横に長くお口全体を映すもので、お口全体の骨、歯の根、顎の状態を一枚で確認できるレントゲンです。親知らずや歯の根っこの膿、顎の骨の異常なども把握でき、幅広い診断の基礎となります。
デンタルレントゲン撮影では、隣りあった3~4本の歯を撮影するもので、1本1本の歯の様子を細かく知ることができます。個々の歯のむし歯の状態は、デンタルの方が確認しやすくなります。
歯科用CTはお口の状態を3D画像で再現する撮影装置です。3次元的に骨・歯の状態を可視化し、レントゲンでは確認できない立体的な病変の広がり、位置関係、骨の状態、神経の位置などを正確に詳しく把握できます。親知らずの生え方、歯の根っこの状態、インプラント治療では骨の厚みを正確に知ることもできます。
レントゲンは、歯や顎骨の状態を詳しく把握するための検査です。歯科医師が通常の視診や触診では確認できない箇所を検査することで、早期発見や精密な治療が可能になります。例えば、以下のようなケースで役立ちます。
レントゲン検査によって、歯の表面だけでなく、歯の中までむし歯が進行しているかどうかを判断することができます。歯の内部や歯と歯の接触面など、目視では確認できない部分のむし歯を発見することができるのです。またむし歯が神経に達する前に発見し、早期に治療を開始することで、進行を食い止め治療の負担を軽くすることもできます。
レントゲン検査は、歯周病の進行度を判断するために使用されます。歯周病は、初期の段階では、痛みのない歯ぐきの腫れや出血程度の症状しか現れないため、検査で指摘されなければ自覚症状はないことが多くあります。レントゲン検査で、歯を支える骨の状態や歯ぐきの下の目視では見えない部分の状態を観察することができ、歯周病の進行度を正確に把握することが可能です。レントゲンで骨の吸収の程度を調べ、治療計画を立てることができます。
根管治療は、神経まで進行したむし歯の治療です。簡単に言えば歯の根っこの神経の通っている管を掃除して神経を取り除き空になった管に薬をつめて被せものをし、歯の機能を維持するというものです。この管、根管は複雑に枝分かれしたり途中で曲がったり、迷路のように入り組んでおり、患部を平面的にとらえる2次元のレントゲン撮影で確認しきれない場合は歯科用CTで撮影します。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む外科手術を行うもので、顎の骨の状態の情報が治療計画をたてるうえで非常に重要です。インプラント治療のプランには、骨の幅、骨の高さ、骨の形態・密度、血管や神経の位置、上顎洞の位置といった情報が必要になります。
インプラント体を埋め込むだけでなく、顎の骨を補強するをご提案することもできます。
歯周ポケット検査は、保険のルールとして歯石取りするために必須の検査です。意外と患者さまにきちんと説明している歯科医院は少ないようです。歯周病治療の際に、健康な歯肉を傷めることのないよう、歯周ポケットがどのような状態にあるか事前に確認する検査は必ず必要なものとなります。
歯周病の治療は、歯と歯ぐきのあいだの隙間、歯周ポケットの歯石やプラークを除去し、歯周組織を破壊していく原因をとりのぞいていくことで進められます。歯石やプラークを除去するには、スケーラーという器具を歯周ポケットに差し込むことになるのですが、ポケットが大きくない場合に無理にスケーラーを差し込むと、かえって歯周組織を傷めてしまうのです。そのため、歯周ポケットの状態を事前に確認する必要があるのです。
歯周ポケット検査はプローブという細い器具を使うことからプロービング検査とも言います。プローブは歯肉を傷めない先端の丸いものさしのようなものと思ってください。歯周ポケットの深さ、出血や、歯の動揺、プラークの付き方などを事前に検査します。出血は炎症の兆候を、歯の動揺は歯周病の進行度を知ることができます。歯周病は自覚症状がありませんが、プロービング検査で歯周病が進行している箇所を探ることができ、治療方法を選択することができるのです。
お口の状態を知るという意味では、通常の診療と基本的な検査項目はかわりません。矯正治療の事前検査は、口腔内のお顔の写真撮影、レントゲン撮影(パノラマ・セファロ・CTなど)、口腔内スキャナーによる撮影や口腔内検査といったことを行います。
噛むこと食べること、話すこと。お口の機能は歯と顎の骨や歯肉が連動するとても複雑なものなんです。一か所だけ悪いところがあっても、お口全体に関わる原因が隠れているかもしれません。患者さまのお口の状態を正確に詳しく知るために、治療に先立つ検査はとても重要なことなのです。