「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
こんにちは。千葉県木更津市にある歯医者「木更津きらら歯科」です。
歯ぐきが腫れて、膿がでてきた! 頬や顎まで腫れて熱を持っている・・・ そんな症状のご経験はありませんか? むし歯の症状としては重症です。残念ながら、歯科ではよく見られる症状なんです。これは歯の根っこにできてしまった膿の袋による症状です。この膿の袋を、歯根嚢胞(しこんのうほう)といいます。歯科医は、進行を食い止め、歯の機能を残すことを考えます。
目次
木更津きらら歯科では三次元画像が得られる歯科用CT(Computed Tomography-コンピュータ断層撮影)を導入しています。嚢胞の位置や骨への影響などをより正確に把握することができます。
こちらは歯科用CTで撮影したお口の中の断面です。赤い部分が歯、黄色の部分が顎の骨の断面です。ピンク色の部分を見てください。この患者さまは、歯の根っこに膿みが袋状にたまっていることがわかります。このケースでは歯を残すことができそうです。感染した根っこの部分のみを切除(歯根端切除術)し、同時に嚢胞を摘出します。
3D画像で撮影可能な歯科用CTです。レントゲンでは確認できない立体的な病変の広がり、位置関係、骨の状態、神経の位置などを精密に把握できるため、歯根端切除術などでは、正確で安全な治療を可能にします。
歯根嚢胞とはどんな病気なのでしょうか?
むし歯がC4程度にまで進行すると、歯髄に感染が起こります。それが歯の根っこの先にまで届いてしまうと、根尖性歯周炎が生じます。その状態が長く続くと、膿がたまった袋状の病変ができることがあります。これが歯根嚢胞(しこんのうほう)です。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには歯ぐきの中で大きくなり、痛みや腫れを引き起こします。放置すると歯を支える骨や歯周組織が破壊され、歯を失うことにもなりかねません。
※繊維質の塊である歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)ができることもあります。こちらもほおっておくと、歯の根や周りの骨が溶けたり、他の病気を引き起こしたりする原因となります。
初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。歯科定期検診や、他の理由で撮影したレントゲンやCT検査で、偶然発見されることも多いのです。症状がないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
初嚢胞が大きくなってくると、歯ぐきに腫れやふくらみがあらわれてくることがあります。噛んだときに違和感があったり、なんとなく圧迫されるような感覚を覚えることから、異常に気付く方もいらっしゃるかもしれません。歯や歯ぐきに鈍い痛みを感じたり、進行するにしたがって痛みが強くなったりします。
さらに進行すると、歯肉に膿の出口ができ、膿が出てくることがあります。膿がたまって炎症が広がると、頬や顎が大きく腫れてしまい熱を持ったり倦怠感を感じたりすることも。ここまで進行しまったら、早急に治療を受けなければなりません。歯科医は「どうしてこんなになるまでほおっておいたんですか」とつい言ってしまうかも・・・。どうかお許しください、急いで治療にとりかかりましょう。
嚢胞が大きくなると、歯を支える歯槽骨を溶かしてしまいます。嚢胞が骨を吸収することで、歯の動揺を招くこともあります。
歯根嚢胞の最も多い原因は、進行したむし歯です。むし歯が歯の表面から内部に向かって進行すると、やがて歯の神経に到達します。細菌感染により神経の機能が働かなくなると、細菌は根の先まで侵入します。免疫反応が生じた結果、膿がたまり、嚢胞が形成されるのです。神経がすでに死んでいる歯は痛みを感じにくいため、自覚症状がほとんどないかもしれません。症状が出た時にはすでに大きな嚢胞となっていることも多く、注意が必要です。
根管治療とは、細菌に感染した歯髄を除去して徹底的に殺菌し、防腐剤をつめて密閉するという治療です。根管は非常に複雑な構造をしており、すべての感染源を除去するのが困難な場合もあります。以前に根管治療を受けた歯でも、根管の中に細菌が残っていたり、充填材が不十分だったりすると、再び感染を起こすことがあります。根管治療が十分に行われなかった場合、細菌が再び活性化して嚢胞が形成されることがあります。治療後数年を経てから歯根嚢胞が見つかるケースも珍しくありません。
事故や転倒、スポーツ中の衝突などによって力がかかり、歯が折れたり亀裂がはいったりして、歯の神経が細菌に感染し、歯の根の先端に嚢胞が形成されることがあります。このような非感染性の外傷によるケースは、時間が経ってから症状として現れることが多くあります。
軽度の炎症が長期間続くことで、嚢胞が形成されることもあります。
レントゲン撮影では、歯の根の根の先に黒い影として嚢胞が確認できます。ただし位置や大きさによっては確認しにくい場合もあります。
コンピュータ断層撮影、歯科用CTでは、レントゲンでは把握できない病変の立体的な広がりや、位置関係、骨の状態、神経の位置などを精密に再現します。歯根端切除術などでは正確で安全な治療を可能にします。1回の放射線量が従来の医科用CTと比較すると非常に少なく、患者さまへ負担の少ない治療が行えます。
症状によって、できるだけ歯の機能を残すことを考えます。
歯の内部にある感染組織を除去し、根管を洗浄・消毒してから充填材で密封することで再感染を防ぎます。小さな嚢胞に適用される治療法です。
嚢胞が大きい場合、または根管治療のみでは対応できない場合、外科的に嚢胞を摘出する手術を行います。感染した歯根先端を切除し、嚢胞を取り除く手術を「歯根端切除術」と言います。
嚢胞が非常に大きい場合や歯が保存不可能な場合は、抜歯をしなければならないこともあります。抜歯後は義歯、ブリッジ、インプラントなどの治療が必要です。
木更津きらら歯科ではプライバシーに配慮した完全無菌のオペ室を完備しています。
木更津きらら歯科は、高度な治療に対応できる検査機器にオペ室を備え、経験豊富な医師が診療にあたります。むずかしい症例でも安心しておまかせください。でも、そうなる前に、予防と早期発見、早めの治療が一番大切なんですよ。
木更津きらら歯科では、各ジャンルに精通した歯科医師が在籍しています。お口の異変でご不安なこと、わからないことがありましたらご遠慮なくお問い合わせください。