木更津きらら歯科の歯科ブログ

「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。

24年08月31日

器質的口腔ケアと機能的口腔ケア

■口腔ケアの種類

口腔ケアには、大きく分けて「機能的口腔ケア」と「器質的口腔ケア」の2種類があります。

*器質的口腔ケア

器質的口腔ケアは口の中を清潔に保つためのケアのことです。日々のうがいや歯磨き、入れ歯を洗ったり舌をお掃除したりすることを指します。

お口の中の汚れは歯だけでなく、歯ぐきや舌、頬の内側にもついていて、その中に多くの細菌が繁殖しています。細菌を繁殖させる原因となる、食べかすやプラーク(歯垢)やきれいに取り除くのが器質的口腔ケアです。口の中の細菌数を減らすことで、歯周病やむし歯、口内炎などのトラブルを予防します。また誤嚥性肺炎の予防にも効果があります。定期的な歯科検診やクリーニングも重要です。

*機能的口腔ケア

機能的口腔ケアは、食べる、話す、表情をつくるといった口の働きを維持し、回復を目指すケアのことです。口の周りの筋肉や舌を動かすことでお口の機能の低下を防ぎます。

具体的には、口周りのマッサージや、嚥下機能を鍛えるトレーニングやリハビリなどがあります。筋力は何歳になっても鍛えることができます。ずっとベッドの上で過ごしているご高齢の方が、機能的口腔ケアで飲み込む機能の向上を目指すこともできます。その一方で、からだの筋肉と同じように鍛えなければ衰えてしまいます。器質的口腔ケアと同時に行っていくことが大切です。

■口腔ケアの役割

口の中はあたたかく食べかすなどの栄養があり、細菌が繁殖しやすい環境です。そのため、積極的に清潔に保つケアをする必要があります。

*お口のトラブルを予防する

口の中で細菌が活発になると、むし歯や口臭の原因となり、歯ぐきがはれたり、口内炎や歯周病のような炎症も起こしやすくなります。

*全身の健康への影響

口腔内の状態は、全身の健康に大きく関係があります。特に歯周病はたいへん危険な病気です。炎症によって発生する毒性物質が歯ぐきの血管から全身に入り、糖尿病、心筋梗塞しんきんこうそく、脳梗塞などのさまざまな病気に影響を及ぼすことがわかっています。認知症とも相関関係にあることがわかってきました。さらに、早産や低体重出生児のリスクを高める可能性もあります。

*食事や会話における快適さ

お口の中に問題があると、まず食事を楽しむことができません。発音が不明瞭になり会話が難しくなることがあります。口臭によって自信を失い、人とのコミュニケーションがうまくゆかなくなることもあるでしょう。白く健康的な歯や口元は自分に自信を持つことにもつながります。入れ歯を使っている場合でも、きちんとメインテナンスされ清潔な状態を保っていることは、機能面だけでなく心の健康にも大切です。

■自分でできる口腔ケア

お口の清潔な状態と、機能を保つセルフケアをご紹介します。

*歯みがき

口腔ケアの基本中の基本。毎日何気なくやっている歯みがきを見直してみましょう。歯ブラシを鉛筆を握るように持ち、20回程度小刻みに振動させながら2〜3mmずつ横に動かして磨きます。歯と歯茎の間の歯周ポケットは、歯ブラシを斜め45度くらいにして、毛先を軽く入り込ませるように磨きます。力を入れ過ぎないように優しく丁寧に磨きましょう。むし歯予防には、フッ化物入り歯みがき剤が効果的です。

*歯間ブラシやデンタルフロスなどの活用

歯ブラシでは届かない歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってプラークや食べかすを取り除きます。

*舌の掃除

舌の表面には舌苔ぜったいという汚れが付着していて口臭などの原因になります。舌に白や黄色っぽい苔こけ状のものが付着していたらそれが舌苔です。舌苔はうがいで落とすことができません。舌ブラシを使って舌の表面を奥から手前に向かって優しく3~4回こすり、その後うがいをして汚れを洗い流します。1日1回起床時に行うのが効果的です。

*顔面、口腔の運動

顔面や口腔の筋肉を運動させることで、口や舌の動きが滑らかになり口腔内の健康を維持します。口を閉じて頬を左右交互に膨らませる運動、口を大きく開けて閉じる運動、口の中で舌を回す運動などがあります。

*唾液腺マッサージ

唾液腺を刺激して唾液の分泌を促します。唾液には、抗菌作用や再石灰化の働き、酸性に傾いたお口の中を中性にもどす機能があります。唾液の出やすいポイントをマッサージします。

*定期的な歯科検診

歯科医院での定期的な検診とクリーニングを受けることで、歯や歯茎の健康状態を確認し、トラブルを早期発見し治療することができます。通常は年に1〜2回の検診が推奨されています。

■ご高齢者の口腔ケア

飲み込む機能が弱まると、食べ物や唾液が気道に入ることがきっかけで起こる、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は70代以上がかかる肺炎のうち、なんと7割~8割を占めている報告もある程、危険な病気です。これを予防するには、普段の口腔ケアに加え、専門医による口腔ケアや治療が重要になります。

*オーラルフレイル

「オーラルフレイル」は、からだの衰え(フレイル)のひとつです。なんとなくむせることが多くなってきた気がする、食べこぼしをすることが増えてきた、滑舌が悪くなってきた。それはお口の機能の衰えが原因です。お口の機能の衰えは、「変えることができる可能性がある」点が大きな特徴です。健康な状態と機能障害の中間にあり、早めに気づいて適切な対応をすることで健康な状態に近づけることができる可能性があるのです。

木更津きらら歯科では、口腔リハビリに力を入れ、患者様に合わせたトレーニングで、噛む力・嚥下機能の維持・向上を行っております。歯の本数が少なくても、トレーニングでお口の機能の回復を目指すことはできるのです。

歯みがきは重要な口腔ケアのひとつの方法です。でももっと、幅広く全身の健康の健康と関わりがあるのです。毎日の口腔ケアで口腔内の健康を守り、将来の健康につなげていきましょう。


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