「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
私たちはまず目の前のものが食べ物か認識します。そして一口で噛んで飲み込めるかどうか判断します。食べ物をお口の中にいれると歯の力が噛み砕いたりすりつぶしたりしてやわらかくしてくれます。やわらかくなった食物は舌によって喉の入り口まで運ばれます。鼻との交通を遮断したり、気道を守るといった複雑な動きが起こりへんなところにはいってしまわないように防ぎながら、食べ物は食道を通り胃へと送り込まれるのです。
自分の力で食べ物を噛んで飲み込むためには、様々な機能が健康的に働いているのです。ではそれは、どんな機能でしょうか?
これをロボットで再現しようとしたらたいへんなことになりそうですね!
さて、一方、食べ物が誤って気管や肺に入ってしまったらどうなるでしょうか。口腔内の様々な機能が正常なら、激しく咳き込んで、誤嚥物を吐き出そうとします。ところが年をとってお口の中の筋肉や機能が衰えてくると、むせたり吐き出したりといったことができなくなります。そうなると、見た目では、誤嚥しているかどうかわかりません。
誤嚥がこわいのは、細菌もいっしょに肺にはいってしまうことが多いからなのです。誤嚥性肺炎は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような外部から侵入する細菌ではなく、元から口腔内や鼻腔に存在している常在菌による肺炎です。熱やせき、濃い色の痰などの症状がみられますが、倦怠感や食欲不振といった形で現れることもあります。重症化すると命の危険にかかわることもあります。
誤嚥性肺炎は、お口の中の機能が低下している可能性のある、ご高齢者や、神経疾患を抱えている方に多くみられます。また口腔内の常在菌が原因であることが多いため、お口の中を清潔に保つことがとても大事なんです。
肺炎と歯医者が関係あるの? とお思いですか? 歯医者の仕事は、むし歯や歯周病を治すだけではありません。お口の中の機能をトレーニングしたり、お口の中を清潔に保つお手伝いをすることが、ご高齢者の誤嚥性肺炎の予防につながる面もあるのです。
木更津きらら歯科の歯科衛生士は日本摂食支援協会の実習を修了し、ご高齢者のお口のトレーニングや、口腔内の衛生のための支援を行うことができます。ご高齢者のご自宅へうかがう訪問歯科も行っています。