「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
※厚生労働省平成25年介護保険事業報告書より、要介護4,5の人口が約130万人
内閣府の平成28年版高齢社会白書では、介護が必要になった主な原因について、1位「脳血管疾患」、2位「認知症」16.4%となっており、特に男性の「脳血管疾患」が26.3%と特に多くなっていると報告されています。
歯周病原因菌は、血液の流れに入り込んで血液の凝固を起こし、血液の流れを障害します。脳に到達し、血栓ができて脳梗塞が発症するのです。歯周病原因菌は、歯周病が重症になるほど血液の流れに入り込みやすくなります。
歯と歯を噛み合わせた時の刺激は、脳に伝わり、脳の感覚や運動、記憶や思考、意欲を司る部位の活性化を促します。自分の歯で食物を噛むことができれば、同時に脳を刺激するという事がわかっているのです。高齢者の歯の残存数と認知症との関係から、歯が少ないと、脳が刺激が少なくなり、脳の活動に影響があるということが、東北大学の研究により明らかになりました。残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬や、意志や思考の機能を司る前頭葉の容積などが少なくなっていた事がわかりました。
日本人は、70代で残っている歯は平均で16本程度。予防歯科の進んだスウェーデンでは21本以上です。高齢になって、歯の残っている数が多いほど、自分らしさを失わず、人生の終わりの時期を過ごすことができるのです。私たちは、脳血管疾患と認知症が歯の健康ととても関係が深いことをもう知っているのです。