「お口のコンサルタント(当院の歯科医師)」による、生涯安心して健康な歯で暮らしていくためのマメ知識をご紹介いたします。
白く輝くきれいな歯を、真珠のような歯、と言ったりしますが、真珠のように美しいのは、歯の一番外側を覆うエナメル質です。このエナメル質は痛みを感じないんです。なにか食べたりかみ切ったりするたびに痛みを感じたらたいへんです。エナメル質でおおわれているのが象牙質です。根っこの部分は象牙質がむきだしになっています。象牙質は、刺激を痛みとして神経に伝達します。つまり痛みを感じるのは象牙質なんです。
なんらかの理由で象牙質がむきだしになると、痛みを感じることがあります。
加齢によって歯ぐきがさがると、エナメル質でおおわれていない歯の根っこの象牙質が露出し、痛みを噛んじることがあります。ただ加齢により、刺激を痛みとして伝達する象牙質の中の無数の小さな管が塞がってくることもあり、そうすると痛みは感じにくくなりますね。
歯を覆うエナメル質は、お口の中が酸性に傾くと溶け始めます。酸性の飲み物や食べ物を、だらだら口にし続けたり、歯みがきを怠ると、お口の中が中性にもどることができず、エナメル質を傷めます。歯(の表面を覆うエナメル質)は意外に簡単に溶けてしまうんですよ。エナメル質が損なわれ、象牙質がむき出しになると、知覚過敏が起こりやすくなります。
事故などで歯が破損して象牙質がむき出しになると、痛みを感じることがあります。これはむし歯の痛みとは異なるものです。
長い間働いてくれる歯は、わずかではありますが少しづつすり減ってきます。エナメル質がなくなって象牙質が露出するということもあります。
食事でお口の中が酸性に傾き、歯の成分が溶け出してしまうことを脱灰と言います。そのままだと歯が溶けてむし歯になってしまうのですが、唾液が、溶け出してしまったカルシウムイオンやリン酸イオンを歯にもどし修復してくれます。再石灰化は、お口の中で常に起こっている働きです。歯みがきをきちんとして再石灰化を促すことで、エナメル質が修復され、知覚過敏が改善されることも多いのです。
刺激を遮ってくれるエナメル質のかわりになる歯と同じような成分の結晶を塗布して、歯の神経へ刺激が伝わらないようにすることで知覚過敏を改善します。歯みがき剤もありますが、歯科クリニックで治療する方が効果が高く即効性もあります。
象牙質を物理的に樹脂の素材(コンポジットレジン)などでコーティングして刺激から守ります。
露出した象牙質にレーザーを照射し、象牙質に伝わる刺激を抑制し、歯の神経への刺激を遮断して知覚過敏の症状を改善します。
年をとってくると、歯がのびたように見えることがありませんか? それは、歯が伸びたのではなく、歯ぐきが下がったんです。その歯の根元にできる「歯の根むし歯」をほおっておくと、健康にとってとても重大な事態を引き起こします。
歯の根むし歯のスペシャリスト、愛知学院大学歯学部 保存修復学講座 特殊診療科教授 冨士谷 盛興(もりおき)先生にお話しをうかがいました。
※情報や出演者の肩書きは撮影時のものです。
歯ぐきは年をとると誰でもさがっていきます。30代でさがりはじめて、40代で8割以上、60代になると100%の方が歯ぐきが下がっています。毎日少しづつ下がっていくので、気づいていない人も多いと思いかもしれません
歯の根むし歯をおほっておくと、複数の歯がむし歯になって、歯を失う原因になり、口の機能が低下し、ご高齢者の場合は要介護に至る危険性もあります。また全身の病気に関連する歯周病を引き起こす原因にもなるんです。
歯の根むし歯は、治療がむずかしいところがあります。重症化しやすいのに進行が遅いため、気づきにくいという特徴があるからです。
歯は歯ぐきから上の部分はからだの中で最も堅い組織、エナメル質でできていて、そのエナメル質で守られているのが象牙質です。歯ぐきがさがると、この象牙質が露出してしまいます。象牙質は酸に弱くて溶けやすく、表面がざらざらしていて汚れが付きやすいためめ、虫歯になりやすいんです。
食べかすを歯の間に残さないことが重要です。食事の余韻を楽しまず、食後5分以内に口をゆすぐことが効果的です。大切なのは、歯の間にモノが挟まっていると気持ちが悪いという感覚を持つことです。
口をゆすぐときにはぶくぶくうがい。頬をふくらませて勢いよく歯と歯の間を洗い流します。また食後の歯みがきは二段階磨きで行います。普段通りに歯をみがいたあと、歯と歯ぐきの境目を意識してみがきましょう。
歯みがきで絶対にやってはいけないことが、力をいれてゴシゴシ磨きをすること。歯ぐきを傷つけ、歯ぐきががる原因にもなります。軽く当てて、小さく動かすだけでも汚れはとれます。
電動歯ブラシもおすすめです。力をいれずに毛先を軽くあてるだけできれいになります。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯の間の食べかすをとることも効果的です。歯みがき粉はフッ素配合で濃度が高いものを使うと、歯の表面を保護する効果が高まります。
歯ぐきがさがったら、元に戻す方法はありません。だから、歯ぐきが下がっていることに気づいた時からケアをすることが大切なんです。歯医者の定期検診にいって歯垢や歯石をとりのぞいてもらい、自分にあった歯みがきの仕方を教えてもらいましょう。また歯の根元がしみるなど症状がある方はすぐに歯医者で受診を。
ペースト状のレジンを直接つめていく治療法なので、以前なら大きく削って金属性のつめものをしなければならなかったむし歯でも、高い精度で削る範囲を最小限にすることができます。その分、歯科医師の腕の見せ所でもあります。
歯の色に近い色調のため、金属の詰め物より自然な見た目を再現できます。
プラスチック素材のため、お口の中の詰め物として、金属アレルギーのある方でも安心しです。
悪いところが見つかったら、即日治療できます。患者さまのお口の状態によりますが、治療回数が少なくできます。
初期のむし歯でしたら、保険診療の範囲で治療が可能なことが多いです。
光線が届かない箇所では、硬化させられないため、使用できません。適用する箇所を選ぶ素材でもあります。
セラミックや金属に比べ、やや強度に劣るという特性がありますが、前歯だけでなく奥歯に使えることも多いです。
コンポジットレジンは歯科の治療では最も多く使われている素材です。保険診療の範囲内で自然な美しさのある歯を再現できます。
お悩み:前歯のむし歯が、歯と歯の間から中へと広がり、黒く透けて見えるようになっ
てしまった。
治療:むし歯部分を削り、保険診療のコンポジットレジン充填を行いました。
リスク:保険診療の場合、材料の選択や対応できる症例に限りがあります。今回のケースは、保険診療の範囲できれいに治療ができました。
金額:1本 約1000円(非課税)
自由診療では、素材の特性を生かし、前歯のすきまや色調を整えたい場合に使用できるケースがあります。色調が豊富なため、色が合わせやすく自然な色合いを再現することが可能です。
歯の表面がとけはじめた状態です。痛みがないので気づきにくいのですが、本来なら透明感のある歯の表面に白く濁ったようなシミ、ホワイトスポットが見つかったら、C0の段階のむし歯です。この段階なら、歯を削らずに再石灰化を促すという治療が有効な場合があります。フッ素塗布や、歯みがき剤の成分の力を借りてカルシウムを補います。
木更津きらら歯科では、薬剤でむし歯部分を溶かし、再石灰化を促す治療法もご提案できます。
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むし歯がC2の段階まで進行すると、冷たいものが染みたり、見た目にも目立ち始めます。歯の表面のエナメル質に大な穴が空き、その下の象牙質まで浸食されている状態です。C2まで進行したむし歯は、むし歯の部分を削ったうえ、詰め物をかたどりして製作する必要があります
C2の患者さまのコンポジットレジン充填の症例です。この患者さまは、保険診療の範囲できれいに治療ができました。
インレーは前から4番目から7番目の歯に行うつめもので、強度と見た目の美しさが求められます。保険診療の範囲で製作できる銀歯や、セラミックの素材を使用します。お口の中に金属がある状態は本来、からだに負担がかかってしまうので、当院ではジルコニアインレーを推奨しています。
写真はジルコニアインレーです。患者さまの歯に似た色を選ぶことができ、強度があるため奥歯にも適します。インレーのかたどりは熟練を要します。当院の経験豊かな歯科医師と歯科衛生士が丁寧にかたどりしていきます。
C3では、進行したむし歯が神経に到達し、冷たいものがしみたり痛みを感じるようになります。ここまで進んでしまうと歯の神経を根っこからとりのぞかなくてはならない場合があります。これを根管治療といいます。神経をとりさってしまうのは最後の手段です。歯科医は患者さまの歯の神経は温存したいのです。こうなる前に治療できればいいのですが・・・。
C3になると、つめものではすまなくなり、歯全体に被せる被せものを製作する必要があります。これをクラウンといいます。強度や美しさの点で、ジルコニア製のクラウンが主流です。写真はすべてジルコニアで製作された、フルジルコニアクラウンです。
C4はむし歯の最終段階です。歯のエナメル質も象牙質ももうほとんど残っていません。この段階では抜歯の選択をすることになります。歯を抜いた後は、入れ歯、ブリッジ、インプラントという手段で失った歯の部分を補います。
保険診療でよく選択される「銀歯」は、金銀バラジウム合金という素材でできています。クラウンと呼ばれる被せものは、特に奥歯で使われる場合、強度や耐久性が必要です。金銀バラジウム合金は硬く、力がかかるところでも使えることが特徴です。耐久性をあげるために、金が少し混ぜられているのです。金銀バラジウム素材のクラウンは、保険の範囲で収まるために、広く普及しています。
銀歯は劣化が進みやすく、治療の際にはクラウンをはずさなければならないため、長い目で考えると歯への負担が大きくなります。強度があるため、噛み合わせの反対側の歯が傷んでしまったり、金属アレルギーの原因になってしまう場合もあります。
金は金属アレルギーが起きにくいからだにやさしい素材です。歯と密着するためむし歯の再発も起こりにくいのです。やわらかく患者さまのお口の状態にあわせて加工しやすい素材で、適切な噛み合わせを再現することにも優れています。劣化もしにくい素材です。
保険の範囲外となってしまうので、治療費が高価になります。見た目的に目立ってしまうので抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。
セラミックの素材は使う部位や用途、見た目の美しさをどの程度お求めになるか、またご予算といった観点からいろいろな選択肢があります。素材のそれぞれに、強度や耐久性、美しさに特徴があります。
保険の範囲外なので、治療費が高価になります。また美しさが求められる前歯に適する素材、強度が必要な奥歯に適する素材といったふうに様々な種類があるため、医師とよくご相談ください。
歯科で使用される材料(銀歯など)は安全が確認されているものの、アレルギー原因となっているケースもあります。口の中の金属を取ることで治る方もいますが、それだけが原因でない方もいらっしゃいます。
当院でも、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)で皮膚科を受診し、口の中の金属をとりのぞくことをすすめられたとのことで来院された方がいらっしゃいました。掌蹠膿疱症は手のひらなどに膿のたまった湿疹ができるアレルギー症状です。この患者さまのケースでは、口腔内で治療に使われていた金属を、セラミックに置き換える治療をいたしました。
眠っているとき、ご家族に歯ぎしりを指摘されたことはありませんか。歯ぎしりが長く続くと、咬筋というエラの周りの筋肉が必要以上に強くなってしまいます。咬筋は食事をするときに使う大切な筋肉ですが、不必要に強くなってしまった咬筋は、お口の中のトラブルの原因になります。これを咬筋肥大といいます。
咬筋の強さは他の人と比較ができないため自覚症状がない方がとても多いのです。歯科の診療では口腔内の状態で客観的にお伝えすることができます。
歯ぎしりは、歯の摩耗、歯の動揺を招き、長期間続くと歯が欠けたり、顎の骨や歯茎の痛みにもつながります。またマウスピースも損なってしまいます。
顎の関節に痛みを感じ、口を開けられなくなったりする顎関節症の症状も、歯ぎしりや歯の食いしばりなどの生活習慣が引き起こしていることが多くあります。顎の関節の周りの筋肉が固くなったり、関節を構成する靭帯などが正常でない形に力がかかって傷ついていたり、関節の円盤がずれてしまったりしている症状です。
ボツリヌス治療は、ボツリヌストキシンから抽出されるタンパク質を、咬筋に注入する治療法です。アセチルコリンという神経伝達物質の分泌を抑え、咬筋肥大による筋肉の緊張をやわらげます。日本では、1966年に眼瞼痙攣、2000年に片側顔面痙攣への治療が厚生局の承認を受けています。
しわをとり、エラの筋肉の緊張を和らげて「小顔効果」を期待する美容のための施術でもよく知られるようになりました。
ボツリヌス治療で咬筋の緊張を緩めることによって、こんな効果が期待できます。
15分程度で終了します(表面麻酔をする場合は、40分程度)。
すぐに日常生活に戻ることができます。
15分程度で終了します(表面麻酔をする場合は、40分程度)。
治療後数日は重たい感覚が残る場合があります。。
持続効果はおよそ3~6カ月です。
※持続効果には個人差があります。
保険適用外です。
紫外線照射によって固まるプラスチック製の素材です。金属アレルギーのある方でも安心です。
コンポジットレジン充填は、かけてしまった部分を修復したり、初期の場合には歯を少しだけけずって詰め物をする治療です。お口の中の修復したい箇所に直接、つめものをつめていきます。つまり、型取りをして作った被せ物を被せる治療とは異なり、歯を削る部分を極力少なくできるんです。
コンポジットレジンは、多数のカラーがあり、重ね合わせて使用することで自然な仕上がりに近くなるように調整できます。保険診療の際にも多く使われますが、自由診療においては、審美的に欠けている個所を整えることにも有効な素材です。
セラミックほどの強度はなく、奥歯より前歯の修復に向いています。
コンポジットレジンは、美しく健康な歯並びを再現できます。ただし、お口のなかで直接つめものをしていく作業なので、医師の腕が問われます!
コンポジットレジンの使用例(保険診療)
コンポジットレジンの使用例(自由診療)